Archive for the ‘東海の動物園’ Category

※本稿は2015/11/5~6の取材を中心に、それ以前の見聞を交えて構成されています。

※※スパムが多いため、すべての記事についてコメントは受け付けておりません。設定上は投稿できますが、機械的に削除されます。申し訳ありませんが御了承ください。

 

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浜松市動物園の類人猿舎屋内(※)、なにやら小屋のようなものが。表札の主は「メンフクロウ」です。

 

※類人猿については後述します。

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メンフクロウは英語で「納屋の梟(Barn Owl)」と呼ばれ、しばしば農家の納屋に住みついて巣づくりもします。

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その理由はこちら。農家にとっては害獣であるネズミはメンフクロウにとっては御馳走です。そんなわけで、農家にとっても「納屋の梟」は歓迎するべき居候なのです(※)。

 

※差し支えなければ、こちらの拙エッセイも御覧ください。

 

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鳥と言えば、フライングケージ。

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地には、たとえば湿地に適応した「大足」のバン。ふり仰げばアフリカクロトキ・ショウジョウトキ。水辺の鳥を中心に飛ぶも歩むも自由な暮らしを見せています。

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クジャクバトの食事。植物食・魚食等の鳥種ごとのレシピも掲示されています。

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こちらはジュズカケバト。観察のヒントも満載です。

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キュウカンチョウの「なっちゃん」はフライングケージのアイドルのひとり。人のことば以外にクジャクの鳴きまねなどもするとのことで、動物園暮らしならではのレパートリーと言えそうですね。

 

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起伏に富んだ地形は浜松市動物園の特質のひとつです。先ほどのフライングケージ(写真右端)を抜けてくると、そこは猛禽たちのエリア。高みを舞うかれらの世界を体感できます。

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オジロワシのロビンソン(オス)は京都市動物園生まれの寄贈個体です。

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2011年生まれのハクトウワシ・チャップ(オス)も、その名(白頭)にたがわぬ偉丈夫となってきました(若鳥では頭も焦げ茶色です)。

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フンボルトペンギンも泳ぐことに特化した鳥です。当園の展示はペルー・チリ沿岸原産のかれらに見合った落ち着いた景観となっています(南極・亜南極的な氷の世界の体裁ではありません)。

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さらにはカリフォルニアアシカ。プール内の仕切りを飛び越えるダイナミックな体技もしばしばです。

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アメリカビーバーは14時半頃から活発になる傾向がみられるとのことです。特に夕刻の食事時間はチェック・ポイントでしょう。

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前回のホッキョクグマも含めての、さまざまな「水もの」の動物たち。その生活を支えるのが、この施設です。浜松市動物園では園内の汚水処理施設を活用して用水の浄化・循環利用に努めています。また、汚泥は動物たちの排泄物とともに堆肥づくりに活かされ、隣接する「はままつフラワーパーク」などにも送られています。

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こちらも「水もの」、コツメカワウソ。父母とオスメス2頭の子どもがおり、現在は午前と午後に性別ごとの交替で展示しています。

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ダイナミックなダイブや水中でのスマートな泳ぎも披露されています。

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さらにかれらの「寝室」を覗き見るための窓も。野生でも巣穴をつくるかれらの暮らしを、文字通りそっと垣間見てみましょう。

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別窓と言えば……こちらも。夕刻に見られるミーアキャットたちの食事です。カワウソは魚食性のイタチ科、ミーアキャットはアフリカの乾いた土地に適応したマングースの仲間。同じ肉食動物でも自ずとちがった食性を持ちます(※)。

 

※当園では鶏頭やマウスを与えています。さらには果物や固形飼料など、なかなか豊かなメニューです。

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ペアとその子どもたちを基本とする群れ生活(※)。塩ビ管を潜る姿も、野生での巣穴の暮らしを彷彿とさせます。

 

※母親個体のサザエは多くの子どもをのこしつつ、つい先日亡くなりました。

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ミーアキャットは交互に見張りに立つ習性を持ちます。時にはこんなひとときの出逢いも。

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野生での捕食者は、もっぱら猛禽類とされています。まさに天敵注意。ヘリコプターにも警戒を怠りません。

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こちらは、わたしたちが感電注意……。

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それぞれの動物たちにふさわしい暮らし。さらに、ある動物たちの「おうち」を御紹介しましょう。

浜松市動物園では1994/12以来、日本で唯一ゴールデンライオンタマリンを飼育展示しています。繁殖にも成功しており、海外に転出した個体もいます(※)。写真は2002年に当園で生まれたオスのボビー。「サルのアパート」では、かれらゴールデンライオンをはじめとする中南米の森の小型霊長類「キヌザル類」が展示されています。

 

※詳しくはこちらを御覧ください。

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コモンマーモセットもそのひとつです。

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キヌザルの仲間は昼間は樹上で活動しますが、夜には木のうろ(樹洞)で眠ります。当園のバックヤードでは、こんな巣箱を設けることでキヌザルたちの需要に応えています。これこそがかれらの「おうち」です。

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普段、なかなか見ることもない動物園の「裏側」。この展示はいわば「種明かし」ですが、種明かしされてもおもしろいのが動物園です。それは飼育を知る楽しみです。動物園飼育は野生動物たちの本来の生活を参照し、かれらにとっての必要条件を抽出・再現することを意識しています。そんな理に適った営みだからこそ「種明かしがおもしろい」ことになるのです。見た目は人工的な巣箱でも、そこに「ミニマムな樹洞」を見て取れるようになるなら、わたしたち来園者も少しだけ目が肥えたことになるのではないでしょうか。

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クロザルたちの展示施設でも人工物の活用が見られます(クロザルについては2014/9/6に撮影しました)。

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飼育員の手づくりの給餌器。手探りで食物を取りださせることで、クロザルたちの知能や手先の器用さが発揮されます。

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みんなでお食事。群れでの生活を保障してやることも大切な飼育的配慮です。社会的な満足、索餌や採食のレパートリーを増やすことでの退屈防止、動物園の努力や工夫がくっきりと見えてきます。

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サル山にも、そんなまなざしを向けてみましょう。群れ生活者には群れの暮らし。

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そして、タイヤやチェーンも森(樹上)での移動生活の感覚を再現していると言えるでしょう。わたしたちにとっての展示効果だけでなく、ニホンザルたちにとっても少しでも生活を豊かにする試みがなされているのです。

ちなみに移動生活であるからにはサル山は「おうち」ではありません。ニホンザルに再現するべき「野生の住まい」はないのですから。前述のキヌザルハウスなどとも比較しておきたいところです。

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こちらはひとりのんびりのボルネオオランウータン。メスのムカです。この無防備さは動物園暮らしの表れかもしれませんが、彼女が独りなのは普通のことです。野生のオランウータンはオスもメスも単独生活者です。繁殖行動の折にだけ両者は出逢い、出産も育児もメスだけで行ないます。「お父さんのいない社会」と言ってもよいでしょう。

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そんなわけでオスのバリとは替わりばんこに屋外を使うのが日常です。そして、こちらがメンフクロウの話でも御紹介した屋内展示。屋外とは別の間近さでの向き合いが可能です。

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こちらはチンパンジーたち。手前はオスのジョニー、奥はメスのチーコ(※)。ふたりはこのくらいの日常距離がお気に入りのようです。

 

※別にジョニーの息子のジュンも飼育されています。動物園では各個体のペースを大切にしながらジョニーたちとジュンの同居の可能性も探っています(ジュンは人工保育個体です)。

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そしてゴリラのショウ。まぶたをいじる癖があるせいか、数年前から腫れています。ショウはかなりデリケートな性格であるため、園としては不用意な麻酔治療などは避け、受診のためのトレーニングを進めるなどして対処を考えています。そんなショウもこの日(2015/11/6撮影)は、気の早い秋の陽を惜しむようにこんな姿を見せていました。

 

それぞれの時間、さまざまな暮らし。世界中から動物たちを集めている動物園にとって、それは飼育展示の要となっています。個体ごとのちがいに配慮しなければならないのも、生きたかれらと向き合う場ならではのことです。

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ゴリラと飼育担当者の一日の比較も。ショウにマイペースで暮らしてもらうために、飼育担当者自らは細やかなタイム・スケジュールで働いています(類人猿舎屋内展示)。

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ところ変わって、アメリカバイソンのオス・シャリバン。悠然と構えているのが常ですが、時には豪快な砂浴びも。

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こちらはメスのプレサージュです。飼育スペースが限られているため(他園への搬出も期待できません)、繁殖を避けてシャリバンとは隣り合わせの個別飼育になっています(お互いに間近でふれあうことは出来ます)。

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与えられた条件の中での責任ある飼育。園としての分離飼育の判断については、展示場前の掲示を御覧ください。他にも飼育担当者ならではのエピソードなどが紹介されています。

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ポニーの長老・トニー(1993/3生まれ・オス)。長らく乗馬個体として親しまれましたが、いまは引退して悠々自適です(後ろにいるのはメスのチャチャです)。

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さらに、トニーと同じ1993年生まれのオスのロバ・マック。メスのエミリーは昨年暮れ(2014/12/15)に26歳で亡くなりましたが、マックは御覧の通り、のんびりと暮らしています。

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こちらはネコ科の猛獣中心の中獣舎。黒ヒョウ(※)のペアのシム(オス)とシュヴァルツ(メス)。ふたりは今年10/16に子宝にも恵まれています(※※)。

 

※「黒ヒョウ」という種はいません。ヒョウの遺伝的黒変個体です。写真でもわかるように、明るい陽の下では豹柄が見て取れます。

※※残念ながらシュヴァルツの育児が不順であったため、現在、ベテラン飼育員の手で人工哺育中です。一人前のヒョウへの成長を祈念します。詳しくはこちらの記事ほか「飼育員だより」のレポートを御覧ください。

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最後にジェフロイクモザル。正門ゲートからの流れとなるかれらの「島池展示」は入園・退園の折に自然と目にすることが多いのですが、メスのナナ(先の写真)とオスのトクのふたりの暮らしはいつも静かな時間が流れているように思われます。

 

 

浜松市動物園

国内で唯一ゴールデンライオンタマリンを飼育展示し、動物たちとのわくわくする出逢いに満ちた郊外型動物園。

公式サイト

〒431-1209 浜松市西区舘山寺町199番地

電話 053-487-1122

開園時間

9:00~16:30(入園は16:00まで)

※ 16:00より閉園準備のため、御覧になれない動物があります。

休園日

12/29~12/31

アクセス

新幹線・JR浜松駅北口・バスターミナル1番ポール「舘山寺温泉」行きで約40分。バス停「動物園」下車。

その他、こちらを御覧ください。

 

 

 

※本稿は2015/11/5~6の取材を中心に、それ以前の見聞を交えて構成されています。

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動物園の核心は「生きた野生動物を飼育展示する場」であることでしょう(写真は2014/9/6撮影)。しかし、「飼育展示される野生」というのは、いささか矛盾しているようにも思われます。動物園の動物たちが安定した日々を過ごすためには一定のコントロールが必要ですが、それでもなお、動物園はかれらの野生を保ち、発揮させなければなりません。そのデリケートの実践だけが、この矛盾を乗り越えられるのではないかと思います。

まずは動物園飼育の中で行なわれている、そんな細やかな実践を覗いてみましょう。

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この写真は浜松市動物園で行なわれているキリンのハズバンダリー・トレーニングの様子です。合図で横向きに静止したキリンの尻尾に触れた後、飼育員は少しの餌を与えています。こうして「動物が、ある行動(静止を含む)をしたら必ず報酬を与える」という約束を、飼育員と動物の間で共有していくのです。

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結果として、たとえば直腸で検温するといったことも出来るようになります。このように健康診断や治療につながる「受診動作」を動物たちが進んで行うようにしていくのがハズバンダリー・トレーニングです。

トレーニングというと、とにかく飼い慣らすというイメージが強いかと思いますが、科学的トレーニングは約束事をつくっていく客観的な手順に従っているので、それをきちんと行なうことで、たとえば飼育動物が担当者を見るたびに餌を期待して寄ってくるといった「人づけ」を抑止する効果もあります(※)。翻って、トレーニングの外側では動物たちは、より健やかに本来のペースで活動することになります。それは「野生を保ち、引き出す」ことにつながるでしょう。

 

※人よりもトレーニングの装備やシチュエーションに反応するようになるのです。

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浜松市動物園のキリン・ペア、オスのリョウ(後ろ)とメスのシウンです(2014/9/5撮影)。シウンは2011/3/12・京都市動物園生まれ。2014/3/3にリョウの「お嫁さん」として浜松市動物園にやってきました。リョウがすぐさまシウンに御執心になったのは御覧の通りです。

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そして、二頭の間に生まれたのがオスのゴロウマルです(2015/9/18生まれ)。簡単な御紹介ではありますが、ゴロウマルの誕生に至る過程がキリン本来の繁殖行動によるものだったのが、はっきりと分かるでしょう。

家畜化(domestication)という意味での「飼い馴らす」ことは(理想的には)100%のコントロールを求めているでしょう。ことには飼い主の思うままに繁殖を制御できることは重要な課題となります。

しかし、動物園が求める「野生の飼育展示」にとっては、あくまでも動物たちが自発的に繁殖行動に至ることが大切です。いろいろな配慮はしながらも、不用意に人間(飼育員)が前面に出るべきではありません。この点でゴロウマルの誕生は、シウンとリョウに対する、トレーニングを含めての浜松市動物園の向き合い方が望ましいものであることの証明となっているでしょう。

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すくすくと育ち、立ち姿も凛々しくなってきたゴロウマル。

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いずれは同じミニサファリで暮らすグラントシマウマのマキ(左)やエレンとも、ほどよい関係をつくっていくことでしょう。

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いまだ別囲いの中で母親のシウンと過ごすゴロウマル。リョウはそんな息子が気になって仕方がないようです。

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「お隣が気になる」といえば、こちらも。キイロヒヒが隣接するケージの中を盛んに窺っています。

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こちらが「お隣さん」。ドグエラヒヒには今年(2015年)9/9に子どもが生まれました。母親のアカリはまだ3歳ながら子どもを大切に育んでいる様子です。

 

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見るものすべてに興味津々?

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ところ変わってニホンイノシシのノッシッシーは2002年生まれのメス。日本の里山を代表する野生動物のひとつです。

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ノッシッシ―の隣にはポットベリー(ミニブタ)のリンカとカリン。ベトナム原産でアメリカで改良されたのでノッシッシ―と直接的な系統関係はありませんが、イノシシとそれが家畜化されたブタを見比べることで、外見をはじめとするさまざまな変化(人間による品種改良)を学ぶ、よいきっかけとなるでしょう。

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時には、ノッシッシ―自らの御挨拶(?)も。

 

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イノシシやブタたちのいる辺りは園内でも殊に緑色濃く、うねって行く先の見えない道が期待を高めます。

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抜けていけば、こんな動物の展示も。ホッキョクグマのキロルは2008/12/9、札幌市円山動物園生まれ。おびひろ動物園を経て2011/3/ 7に来園しました(※)。まだ若いキロルは注水口からの滝を受けたりするのも好きなようです。ざざざっ、そしてゆったりと漂い……。しかし、キロルが当園にやってきたのにはわけがあります。

 

 

※いまも、おびひろ動物園で暮らすキロルの妹アイラについては、こちらを御覧ください。

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キロルが来る直前まで浜松市動物園にはメスのホッキョクグマ・バフィンがいました。しかし、バフィンは大阪市の天王寺動物園に移動します。同園のオス・ゴーゴとの繁殖を期待されてのことです。このように動物園同士が契約を結んで繁殖を目的に動物を貸し出し・借り入れすることをブリーディング・ローンと言います。バフィンのブリーディング・ローンは功を奏し、2014/11/25にメスの子どものモモが生まれました(※)。

やがてはキロルも一人前のオスとなり繁殖に貢献してくれるでしょう。動物園の展示は飼育動物たちが代を重ねることなしには継続できません。そして、そんな持続のためには園館同士の連帯が不可欠なのです。

 

※天王寺動物園に関する拙ブログ記事も御覧ください。

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しかし、いましばらくは気ままな暮らしを楽しむ様子のキロルです(2014/9/6撮影)。苦手な暑さも去り、これからは益々奔放なかれの姿を楽しめるでしょう。

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こちらはエゾヒグマのゴロー(奥・オス)とピリカ(メス)。ホッキョクグマはヒグマ(北米流にはハイイログマあるいはグリズリー)がさらに北方の極地周辺に適応して進化しました。浜松市動物園でそんな進化史の対比に想いを馳せてみるのもよいでしょう。

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進化が生み出す似て非なる関係。カナダヤマアラシとアフリカタテガミヤマアラシにもそんな対比が成り立つでしょう(共に当園で飼育展示されています)。両者は進化の系統上はそんなに近くはありませんが、防備として体毛を針に変えるというあり方は共通しています。

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一方で、木登りを得意とするカナダヤマアラシと陸上性のアフリカタテガミヤマアラシの暮らしのちがいは明らかです。動物園という場は、こんな対比を鮮やかに体験し、それぞれのいのちの歴史への敬意を呼び起こす場となり得るでしょう。

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もうひとつ、繁殖に絡んで期待のペアを御紹介。岩場の陰からまぎれもないハンターのまなざしで見据えてくるのはメスのアムールトラ・ローラです。

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ローラはロシア南西部のクラスノダール動物園で2012/6/26に生まれ、今年(2015年)4月に当園へと来日しました。

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そして、そんなローラを迎えたのはこちら。

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オスのテンは2012/12/8に当園で生まれました。この日(11/6)はローラが屋内に帰った15時過ぎからしばし運動場を楽しみました。トラは泳ぐのが好き。テンはそんな嗜好も全開です。ペアとなることを期待されながら、なぜに代わる代わる個別の展示なのか?理由はトラが単独生活者だからです。かれらは野生でも母親と乳幼児以外は単独で暮らします。また、そのような関係の雌雄でこそタイミングが合ったときには繁殖に至るのです。飼育下でもそんなトラの本性が重んじられ、飼育スタッフはかれらのペアリングの好機を窺いつつも、かれらにふさわしい単独生活を保障しています。

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動物たち本来の野生に配慮しつつの飼育。さらに好例を見ていきます。のんびりと過ごすレッサーパンダのチイタ(オス)とテル(メス)。

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しかし、それぞれの食事管理で健康を守るため、チイタはバックヤードで食事と体重測定です。同じレッサーパンダとはいっても性格・嗜好も体質もまちまち、それらに配慮しながらかれらにとってベストな健康状態とそこからの活動を実現しようと試み続けるのが飼育の日常です。

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リンゴの切り方ひとつでも、そんな飼育的配慮が込められています。若い個体には細かく切ることで実際量以上にボリューム感を与え、採食の手間をかける(=時間を延ばす)ことでダイエット効果を狙います。では、大切りの方は……?

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こちらはキンタロウとチャ。どちらも当年18歳でレッサーパンダとしては「老夫婦」と言えます。御覧の通りの仲睦まじさですが……

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やはり食事のプレートは分けられています(この写真はメスのチャ)。そして、リンゴの大きさに注目です。年輩のかれらには大きく切って、よく噛ませることが企図されています。

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キンタロウはリンゴとバナナのほかにはペレット(固形飼料)くらいしか食べようとしないとのことで、バナナを加えたメニューとなります。

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これは孟宗ヨーグルトです。孟宗竹の粉末を乳酸発酵させたもので元々は牛豚の肉質改良のために用いますが、レッサーパンダたちの夜の餌にまぶして与えています。上述のようにキンタロウはあまり竹笹を食べず、チャにもその傾向があります。それもあってかキンタロウは便の状態が悪かったりしますが、この孟宗ヨーグルトを与えることで、ある程度の改善が見られたとのことです。まだ若いテルやチイタはいまのところ竹笹をよく食べていますが、将来の食の変化の可能性も考え、時々、孟宗ヨーグルトを与えて馴らしています。他に竹の葉をジュースにしたものも活用されています。本来の食性は元より個体差や年齢による変化なども勘案しての飼育的配慮が動物たちの健やかさを支えているのです。

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ここでこちらも少々、腹ごしらえ。園内の「るんるん動物レストラン」ではスパイシーなキーマカレーが味わえます。人参がゾウのかたちになっていますね。

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そして、アジアゾウの浜子です。1972/4/7に来園しました。今年で推定45歳となります。

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巧まざるおしゃれ?ゾウは砂などを浴びて皮膚のセルフ・メンテナンスをします。

 

 

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昼下がり、浜子が部屋に戻ってきます(こちら側にも一般向けの観覧スペースがあります)。

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足裏のケア。ゾウの足裏はとても敏感です。それだけにちょっとしたことで痛めてしまうこともあり、日々のケアが出来るようにトレーニングしています。ここにもゾウがゾウらしく生活するための配慮があります。手品なら種明かしは興醒めかもしれませんが、動物園では裏側まで知ることで、さらに深く興味深い見聞が出来るように思われます。

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浜子の耳垢も展示され、においをかげるようになっています。あくまでも自己責任で……。

 

ちなみに現・浜子は三代目となります。1950年に浜松城公園内に静岡県内初の動物園として旧・浜松市動物園が開園しました。その開園当初から浜松にちなんで命名された「ゾウの浜子(初代)」がいました。現在の浜子も旧園で11年を過ごした後に現在の地に引っ越しています(※)。

 

※旧園を含む浜松市動物園の歴史については、こちらを御覧ください。

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現在、旧園時代を中心とした貴重な写真展が行われています(※)。正面ゲートからすぐの動物愛護センター2Fにお越しください。

 

なつかしの動物園展 9/19~11/29

 

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再び、ゾウ舎の屋内展示場。昨春に保護されたアオバズク・アームストロング(メス?)が「散歩」に来ていました。ひな3羽のうち1羽だけが生き残りました。野生復帰は難しいかもしれませんが、こんな機会を通して、わたしたちの日本が実はかれらと縁を持っているのを知ることができます(※)。

 

※アオバズクは夏に東南アジアから北上し、日本にもやってきて繁殖します。

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憩いのひとときを破る浜子の体当たり!

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あぁ、びっくりした(?)……次回も、このアオバズクと同じフクロウの仲間を含め、浜松市動物園のそこここで積み重ねられる飼育展示の工夫と動物たちの日々の姿を御紹介してまいります。

 

 

浜松市動物園

国内で唯一ゴールデンライオンタマリンを飼育展示し、動物たちとのわくわくする出逢いに満ちた郊外型動物園。

公式サイト
〒431-1209 浜松市西区舘山寺町199番地

電話 053-487-1122

開園時間

9:00~16:30(入園は16:00まで)

※ 16:00より閉園準備のため、御覧になれない動物があります。

休園日

12/29~12/31

アクセス

新幹線・JR浜松駅北口・バスターミナル1番ポール「舘山寺温泉」行きで約40分。バス停「動物園」下車。

その他、こちらを御覧ください。

 

 

 

 

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屋内大講堂での、活気あふれる、どうぶつ学習発表会のステージ。「ドッグパーティDEアミーゴ」です。さまざまな動物たちが訪れるパーティーを、準備風景から点描するという趣向です(※)。雑巾がけに奮闘する「お手伝い犬」はアル。

※複数回のステージの写真を使っています。

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ひとっ跳び、おもてなし用のバナナをゲット(レプリカです)!はい、お待たせ。

わたしたちが映画やお芝居を楽しむ時、意識は二重になっているように思います。一方ではストーリーを楽しみつつ、それを演じる俳優や演出する監督の腕前も鑑賞しているということです。どうぶつ学習発表会でも、同じことが言えそうです。軽快なMCとともに展開する、コメディ仕立てのあれこれは、素直に笑うことができるものですが、同時に、練習(トレーニング)の積み重ねでつくられた、トレーナーと動物の息の合った連係にも目を向ければ、楽しみは二倍三倍でしょう。

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ひょいと手を出す、ブタのアリエル。どんな合図やタイミングで動物たちの行動が引き出されているのか、そんな点に注目するなら、トレーナーと動物たちの「約束」の世界も見えてくるかもしれません。

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ベニコンゴウインコのティモンがくわえる手紙の正体は……実際のステージで御確認ください。

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フサオマキザルのもんじろうからはキュウリのプレゼント。

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ちなみに、こちらは、メスのルビー。園内散歩に出逢えたらラッキーですね。

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オウムのパールから、次にバラを捧げられるのは、あなたかもしれません。

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来園者の積極的な参加を求め、動物たちとの能力比べを展開するのは「どうぶつとあそぼうDX」です。子どもの腕とインコのくちばし、持久力があるのはどっち?

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しっかりとトレーニングされた鳥たちにとっては、来園者の持つ輪をくぐるくらいはたやすいことです。

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今回はアングルの関係でクリアな写真が撮れませんでしたが、こんな趣向もあります(2009/4/23撮影)。夜の森を飛び回って、小動物を狩るメンフクロウ。静かで敏速な動きは必須です。この男性は「目の前を過ぎる羽音がしたら札を挙げてください」と言われていたのですが……

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現在、休止していますが、伊豆シャボテン公園では、チンパンジーの学習発表会も行なわれていました(2012/2/12撮影)。わたしたちが森からサバンナへと適応する進化を遂げた一方で、同じヒト科のチンパンジーは森にとどまりました。学習発表会では、そんな森林生活者としてのすぐれた身体能力が、楽しく披露されていました。

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ステージで活動していたチンパンジーたちが、のんびりと過ごすチンパンジアム(屋内大講堂に隣接)。オスのアクセルと来園者の、ほどよい距離での向かいあいとコミュニケーション。男の子が覗き込んでいるのは壁を貫くパイプです。アクセルからも覗いてくることがあります。

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チンパンジーたちは、意外と雪や氷が好きです。

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さらに、少し離れた高台にも「チンパンジーの島」があります。こちらも、ステージを引退したチンパンジーたちが、本来のかたちでの群れで暮らしています。それぞれ気ままにひなたぼっこをしているのは、オスのビリーとメスのココです(現在、もう一個体のメス・ジョアンを群れ入りさせる試みが進行中です)。

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さて、ひと休み。サボテンステーキは開園55周年(2014年)を記念したメニューです。メキシカン・ファイヤーも、味わってみたい逸品です。

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おいしい燃料補給を終えたら、再び園内散策。島池を利用しての開放感のある霊長類展示も、伊豆シャボテン公園の特徴のひとつです。マダガスカル原産のワオキツネザルの身軽な島渡り。

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同じ島には、ブラウンキツネザルもいます。二種類のキツネザル、その行動のちがい・種間の関わり合いなどを観察したいところです。

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ジェフロイクモザルは南アメリカ原産。メスのホイは2013/5/19生まれ。

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母親の「1号」と一緒に水分補給。水に入ることを好まない習性を利用しての島池展示ですが、クモザルは水を飲んだり、少し手などで遊んでみたりするのは好きなようです。自在に巻きつき、からだを支える尾の力にも注目です。

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シロテテナガザルのモモ。チンパンジー同様、尾を持たない類人猿です。樹上で寛いだり、名前通りのリーチを活かして枝渡りをしたり。時折高らかに鳴くテリトリーソングも聴きものです。

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さすがにそろそろ冷えてきました。少し、からだを温めましょう。園内に威容を示す高原竜は、中に入ることができます。

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前半はサボテンをはじめとする世界の多肉植物の中を歩ける大温室群。中南米・アフリカ・マダガスカル、それぞれの環境に適応した植物たちを実感できます。

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植物たちの姿に、生きものたちの世界の共通性と多様性を見て取った後は、あらためて、動物たちの展示へと進んでいけます。パカは中南米原産。カピバラをはじめ、かの地は齧歯類の多様な進化でも知られています。午後の給餌の時間は、かれらを観察するにはもってこいのひととき。まさに食事を始めようとしているのは、メスのスミレ。そして、オスのプカ。パカたちの好物はバナナや蒸し芋で、薬を飲ませたい時なども、これらの食材に仕込めば、うまく行くとのことです。

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早く早くと急かす様子なのは、ムツオビアルマジロのジロ。とても活発な個体です。

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こちらは誰の食事?

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シロムネオオハシのペア、ズー(オス)とルゾー(メス)。くわえた餌を巧みに呑み込むのは、かれらの得意技です。

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究極のエコロジカル・スローライフというべきフタユビナマケモノも、食事となれば、おもむろに活動開始。メスのセイです。オスのカイと同居中。

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高原竜の体内で温まり、再び、屋外に出てみます。放し飼いのカンガルーたちの中に歩み入ることができる「カンガルーの丘」では、小型のパルマワラビー(こう見えても、お母さんなのですね)ほか、三種のカンガルー類を混合展示してます。

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スタッフ手づくりの資料を見ながら、知的な憩いもよいものです。

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ちょうど、オスのナニワを毛づくろいしようとしているのはメスのコハル。仲睦まじいブラジルバクのペアは、2013/8/6にオスの赤ちゃんを授かっています。かれらの息子は既に園から旅立ちましたが、次の繁殖にも期待したいところです。

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最後は、インドタテガミヤマアラシ。それぞれマイペースな群れの個体たち。

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そして、さらにもう一頭が群れ入りを目指しています。2012/7/7に東京・羽村市動物公園で生まれたオスのハム。閉園近くの夕方、他の個体を収容した後に一時的に運動場に出ていることがあります。見かけたら、そっと、かれの今後の幸を祈ってくださればと思います。落ち着くまでには、もうしばらくかかるでしょうが、新入りの若者は繁殖を含めて、新たな展開を生み出してくれるでしょう。

ステージで、温室で、屋外展示で、動物たちにも緩やかな季節と時の移ろいがあります。たまたま訪れたわたしたちも、そんなかれらと動物園のスタッフたちが刻み続ける日々に、ささやかながら出逢うことができるでしょう。

 

伊豆シャボテン公園

ほんわかカピバラ!あったかサボテン!伊豆高原のふれあい動物園
公式サイト
〒413-0231 静岡県伊東市富戸1317-13
Tel:0557-51-1111(代)
飼育動物 100種631点
開園時間
3/1~10月末
9:00~17:00
トワイライト営業(※) 15:30~(最終入園受付16:30)2015年3月まで。
11/1~2月末
9:00~16:00
トワイライト営業 15:00~(最終入園受付15:30)2015年3月まで。
※時間帯限定の入園料半額システム。詳しくは、こちらを御覧ください。
休園日
年中無休
アクセス
JR伊東線・伊東駅から東海バスで約35分。
その他、こちらを御覧ください。

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まことにおくればせながら、あけましておめでとうございます。

伊豆シャボテン公園・なかよし広場の黒ヒツジ・クータンです。

 

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伊豆シャボテン公園といえば、大人気のカピバラ。当園の「カピバラの露天風呂」は、1982年、飼育員の「寒い冬のカピバラは、温かいお湯に浸かりたいんじゃないだろうか」という気づきと思いやりから生まれた、国内初の試み(元祖※)です。

※詳しくは、こちらを御覧ください。
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さきほどの写真から4時間後……父親・雷(らい)と4頭の子どもたちは、今冬も、ほかほかの柚子湯を心行くまで満喫しました。2014年生まれの3頭も、すっかりお湯に慣れて、寒い日には、お湯張りをせがむようにすることもあるそうです。

柚子湯は1/4まででしたが、1月下旬には、伊豆・長崎・埼玉・那須『カピバラの露天風呂 ご当地名産風呂週間』~伊豆「お茶」、長崎「ざぼん」、埼玉「ゆず」、那須「かんぴょう」が控えています。4地域のカピバラ飼育園(伊豆シャボテン公園・長崎バイオパーク・埼玉県こども動物自然公園・那須どうぶつ王国)が、各地の名産品を交換しつつ、それらを活かした変わり湯を行ないます。
また、1/18(日)には「大寒!カピリンピック!」と題して、カピバラの能力・特徴に人が挑戦する企画もあります。あなたも参加して、かれらのすごさを体感してみてはいかがですか?
諸々のカピバラ・イベントのスケジュールは、こちらを御覧ください。
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こちらは「カピバラ虹の広場」。「カピバラの生態や不思議の発見など、あらゆる角度からカピバラについて学べる」という主旨で、昨夏(2014/7/19)、オープンしました。

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広場内の「カピバラ工房」では、陶器のカピバラ・アルパカ・ブタなどの置物に気ままなペイントを施すことも出来ます。

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冬のお楽しみ。工房にあるメキシコ製のチムニーストーブで、カピバラとぬくぬく。広場内のカピバラは放し飼いなので、販売されている餌を与えることも出来ます。露天風呂とは、またちがった、同じ空間・間近さでのカピバラ体験をお楽しみください。

この広場には、他に、アルパカやシチメンチョウ(放し飼い)……

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さらには、ミーアキャットも、陽だまりの中、それぞれに寛いでいます。

※さらに詳しくは、こちらを御覧ください。
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ここでちょっと、一休み。園内のレストラン「ギボン亭」のカピバラエティランチ。からだの中からも、ほっこりしましょう。

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それでも寒い!となったら、屋内展示。入り口から程近い地球環境館では、1月いっぱい、「カピバラ大博覧会」を開催中です。カピバラに関する豊富な知識、当園での飼育歴や露天風呂の歴史、さまざまな方々による「カピバラアート」も展示されています。

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水辺で暮らす、野生のカピバラの貴重な映像も。諸々の資料の知識に導かれて、和を感じさせるカピバラ露天風呂の向こうに、野生の面影も偲んでみてはいかがでしょう。

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地球環境館では、中南米の小型霊長類が常設展示されています。羽飾りの冠を被っているようなワタボウシタマリン。2014/12/27に2頭の赤ちゃんが誕生しました。

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興味深いのは、「赤ちゃんを背負っている=母親」というわけではないことです。群れをつくる動物では、しばしば、親以外のメンバーも赤ちゃんに関心を示しますが、ペアとその子どもたちを基本とするワタボウシタマリンの群れでは、父親や年上の子どもたちが積極的に「子守」をすることが知られています。そうやって、授乳時以外の母親の負担を減らしていると考えられています。ちいさなサルたちの、細やかな社会を覗かせてもらいましょう(現在、赤ちゃんを含めて12頭です)。

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「誕生」といえば、こちらも。3頭のメスのラマ。一番左の小さな個体・ひまわりは、中央のひなたが昨年7/12に産みました。右側のひより(2011/11/2生まれ)とともに、母娘での暮らしです。

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母娘の後方、さらなる高みの隠れ(?)キャラは、父親個体の太陽です。

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さて、少し趣向を変えて、園内の斜面を活かし、起伏に富んだ地形をネットで包みこんだ「バードパラダイス」。飼育員手製のガイドを手に歩けば、鳥たちとの出逢いは、さらに豊かなものとなるでしょう。

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たとえば、アカツクシガモ。雌雄や兄弟など、4組が観察できますが、よく見れば、それぞれに個性的です。張り切る一羽と、遠く見守る(?)相方。

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さらに、バードパラダイスを訪れたら、この鳥を忘れてはなりません。「神社」まで設けられている彼……ハシビロコウのビル(オス)です(※)。普段は、施設内の専用ルームにいて、もっぱらモニター越しの観察となりますが、1981年に来園したビルは、今年で、少なくとも45歳程度になる個体です(国内最高齢)。2013年には「第2代どうぶつ名誉園長」にも選ばれています(初代は、カピバラの雷)。

※「ビル神社」のお賽銭は、ビルの餌代や施設改善の資金となります。

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そんなビルの「雄姿」を期待できるのが、15:20からの「ハシビロコウのごはんですよ」(※)。「動かない鳥」などと称されますが、コイを捕らえる姿は、まるで老ガンマンの早撃ち。野生でも水辺で、じっと待ち伏せしては、こうして魚を狩ったりしているのです。

※荒天中止。季節によって、時間も若干変動します。詳しくは、こちらを御覧ください。
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しかし、満腹になったら、ゆったりと専用ルームへ帰還。やはり、どこまでもマイペース……

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野生のハシビロコウの獲物であるハイギョも展示されているので、探してみてくださいね(ヒント=ビル神社もある建物内です)。

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ハシビロコウの「ごはん」に続いては、こんなイベントも。何やら宙を見上げる飼育員……

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投げ上げられた魚を、見事に空中キャッチするのは、インカアジサシです。野生では水中の魚を捕るのですが、この「アジサシくんのごはんキャッチ」は、その素早さを再現しつつ、よりよく観察しようという趣向です(来園者も参加できます)。

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こちらの行動にも注目。食事の後のインカアジサシは水浴びをする習性があります。

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谷あい(水辺)を中心としたバードパラダイスですが、斜面上部の一部を囲い込み、こんな鳥たちも展示されています(※)。この日(2015/1/5)は残念ながら、くちばしだけの登場でしたが、木のうろの代わりの小屋に住むのは、オオサイチョウです。この状態でも、名にしおうサイの角のような突起は、はっきりと分かります。そして、小屋のかたわらには……

※バードパラダイス内からではなく、出口ゲートに向かう一角に展望できるスポットがあります。園のスタッフ等にお問い合わせください。

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ハゲガオホウカンチョウのラックス(メス)です。もう一羽のレックス(メス)とは、くちばしの色のちがいで識別できます。オオサイチョウ(東南アジア)・ハゲガオホウカンチョウ(南アメリカ)は森の鳥。展示エリアも、それを反映しているのです。

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鳥への餌やりといえば、モモイロペリカンも。時には、来園者も体験できる(※)ことがあります。

※観覧人数等による不定期のものです。写真は、来園者の御了解を得て、掲載しています。

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ペリカンと同時に、独特の風貌のアフリカハゲコウにも餌やりが行われます。くちばしが短いのがセン(メス)、やや長いのがガッツ(オス)です(※)。

※どちらも上下の長さは釣り合っているので、採食に支障はありません。

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これもまた名高い、多数の放し飼いのインドクジャクにも、マナーさえ守れば、楽しく餌やりが出来ます。

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最後にこちら。クジャク同様に園内を自由に動き回るリスザルの群れ。「チーム・リスザル」として、第3代どうぶつ名誉園長に選ばれたかれらにも、時間限定・不定期ながら、やはり餌やり体験があります(園内放送でお知らせします)。小柄ながらも、わたしたちと同じような手を持つ「霊長類」のかれら。そんな特徴を間近で観察できます。しかし、リスザルは野生動物。不用意にさわろうとしたりすれば逃げてしまったり、トラブルの元にも。そういう「適正な距離」を体感することも、このイベントのポイントなのです。

次回(1/28掲載予定)は、伊豆シャボテン公園のもうひとつの柱「どうぶつ学習発表会」や、まだまだ園内あちこちにいる魅力的な動物たちの姿を御紹介してまいります。

 

伊豆シャボテン公園

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飼育動物 100種631点
開園時間
3/1~10月末
9:00~17:00
トワイライト営業(※) 15:30~(最終入園受付16:30)2015年3月まで。
11/1~2月末
9:00~16:00
トワイライト営業 15:00~(最終入園受付15:30)2015年3月まで。
※時間帯限定の入園料半額システム。詳しくは、こちらを御覧ください。
休園日
年中無休
アクセス
JR伊東線・伊東駅から東海バスで約35分。
その他、こちらを御覧ください。