Archive for the ‘九州の動物園’ Category

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国営海の中道海浜公園のなかにある「動物の森」。 園内の一角は、一面の菜の花 (2015/2/28撮影)。

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標高・約16mにある、一番の高所「展望の丘」 (一枚目の写真奥)からは、博多湾・玄界灘が望めます(展望台の黄色い旗は海抜7m以上の高台を示します)。

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丘の麓には水鳥の池。コブハクチョウの、ちょっと意外な(?)脚の畳み方。

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池のほとりにはレストハウス。動物着ぐるみ体験のコーナー(無料)があります。

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さらに売店では、オリジナル缶バッジや、自由にメッセージが書き込める吹き出し付の絵葉書。これらオリジナル・グッズの詰め合わせセットもあります。

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そして、このパネル。園内展示を支える理念のひとつ「環境エンリッチメント」の解説です。ひとことでいうなら「飼育下の動物たちの暮らしを豊かにする」ということですが、動物の森では、それぞれに本来の生息地に適応し、独自の生態や社会性を持つ動物たちのために、そして、そんなかれらを来園者に実感してもらうために、飼育環境を少しでも本来の生息地に近づけるべく努めています。そんなことを念頭に置きながら、園内散策に出発しましょう。

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まさに目の前の水辺で群れるフラミンゴ。全部で3種類が飼育展示されています。このような列を成した姿は、夕刻近くに、よく見られます。羽の一部を処理しているので、飛んで行ってしまうことはありませんが、吹きつける風に向かってはばたくさまも観察できます(2010/9/23撮影)。

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そして、こちらのゴム・チューブの輪。水面に撒いた固形飼料が広がって、岸辺に流れ寄ってしまわないようにしています。画面奥に注目。カラスたちです。出来る限り、ケージなどで囲い込まない展示を行なっている園内ですが、それゆえにカラスを代表として、餌などを狙ってくる存在もあります。この輪は、そんなカラス対策です。フラミンゴたちは、独特のカーブのくちばしを活かしながら、水面の餌を巧みに食べますが、体の重いカラスは、このチューブには留まれません。なにげない輪にも、フラミンゴへの飼育的配慮が込められているのです。

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こちらも水に囲まれたフサオマキザルの島。多くの霊長類は水に入ることを好みません。その習性を活かし、ここでもオープンエアの飼育展示が可能となっています。

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手渡しの給餌は、やはりカラスなどに奪われることを防ぐため。そして、群れで暮らすかれらの個体ごとの食事量を調節する目的もあります。

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この箱もカラス避けで、中に餌を入れます。

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「南米のチンパンジー」ともいわれるフサオマキザルの知能や器用さなら、蓋付の箱に入った餌を取り出すのはたやすいこと。しかし、カラスには「手」が出せません。

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こちらの「福引」式の仕掛けも固形飼料が仕込めます。手間や時間をかけての食事は、野生での採食のあり方に通じるとともに、動物たちの飼育下での退屈を防ぎ、かれらの能力を生き生きと展示することにもなります。

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張りめぐらされたロープが、南アメリカの森に適応したかれらの姿を引き出します。

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メスのミヅキは、2014/11/9に出産しました。群れの個体それぞれの写真付き紹介パネルもありますので、お目当てを決めて探してみるのも楽しいでしょう。

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親離れしはじめた子どもたちは、一番活発な時期です。こうして運動能力を高めつつ、群れでの社会性も身に着けていくのです。

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こちらはクロクモザルの展示場。

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しっかりと巻きつけることのできる尾、いわば「第五の手」を活かして、アクロバティックな動きもお手のもの。

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わたしたち同様、自由度の高い肩関節を持つので、このような「枝渡り」もできます。さきほど御紹介したフサオマキザルのロープの渡り方と比べてみてください。

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時には立ちあがることも。こんな動きからも、体幹や足などの構造が見て取れます。

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かれらも群れで暮らすため、社会的にもアクティヴさを持っています。

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ボリビアリスザルの島には、来園者が島に入り込み、フェンス一枚でリスザルたちと出逢える「ビューシェルター」があります。

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安全を確信しているのでしょう。ほんのすぐそこで寛ぐ姿も観察できます。

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水に入ることはなくても、飲んだり戯れたりは、よくあることです。木立ちの中のリスザルに、アマゾンの熱帯雨林が偲ばれます。

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「ふれあい動物舎」では、また別のかたちで動物たち(モルモット)との間近さを体験できます(※)。

※来園者の御了解を得て掲載しています。

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ゆるやかな時間を過ごすポニーたち。4/4(土)~5/6(水)の土日祝日には、別途設けられた円周状の会場で、かれらと乗馬体験を楽しむこともできます(※)。

※各種イベントには有料のもの・期間限定のものもあります。詳しくは園のサイトや園内情報で御確認ください。

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今年の干支のヒツジ。4/25(土)~5/6(水)の土日祝日には「毛刈りイベント」が行なわれます。ウマ・ヒツジなどの家畜は、わたしたち人間が生活をともにするべく改良を繰り返し、つくりあげてきたものです。ヒツジの毛は定期的に刈ってやらないと伸びすぎてしまいます。野生動物に対しては、適切な距離を保って、かれら本来の生活環境ともどもに守っていくことが必要です。一方で、より積極的に交わり、ふれあい、そして世話もしていかなければならない家畜のありようにも関心を向けていたいと思います。

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指定された餌を購入することで、餌やり体験も楽しめます。

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ヤギの運動場につくられた櫓構造。ヤギは元々、高いところを好み、岩山などでもダイナミックに活動できる能力を持っています。ここにも、飼育動物の生活を少しでも豊かにしようという、動物福祉の観点からの環境エンリッチメントが行なわれているのです。

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こちらは、南アメリカ産の齧歯類2種(カピバラ・マーラ)の暮らす中に、わたしたちが歩み入ることができるエリアです。
世界の齧歯類の最大種であるカピバラは、半水生ゆえに目・鼻・耳が一列に並んだ配置になっています。カバと同様、水に身を潜めながら、視覚・嗅覚・聴覚で、あたりの様子をモニターできるのです。成熟したオスの証である鼻づらの盛り上がり(モリージョ)が目立つのは、オスのケージ(当年5歳)です(※)。
一方でマーラは、草原に適応してウサギや小鹿を思わせる容姿に進化しました。
3/28(土)~5/6(水)の土日祝日には、カピバラ・リスザルの餌やりに、来園者も参加できます。いつも以上に親しく観察すれば、ケージを見つけるのも、あっという間?

※このエリアにも個体識別プレートが備わっています。

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個体識別と言えば、ラマだって、見わけられます。昼下がり、おしなべて寛ぐラマたち。その中でひとり、干し草の残りなど食べているのは、顔の模様が個性的なハニー(メス)です。

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マナヅルとなると、見わけることは難しいかもしれませんが……。向かって右側のケージにいるのは、つがいの2羽です。

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そして、左側は、かれらつがいの子どもで、オスメスのきょうだいです。親から子へ、動物園のいのちをつなぐ繁殖の営みが、そこにあります。

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そんないのちの連なりは、ここにも。カピバラに隣接するアカカンガルーのエリア。一枚目の写真の奥では、母親の育児嚢(ふくろ)から、かなり育った子どもの肢が覗いています。かたや、寛ぐ別のメスの育児嚢に収まった子は、毛も生えそろわぬ尻尾を見せています。こちらは、独り立ちにはまだしばらくかかりそうです。

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通り抜けのできるカンガルー・エリアの片方のゲート脇には、カンガルーの育児嚢の中での子供の成長を順繰りに見ることができる解説装置が設けられています。

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こちらはイエウサギ。家畜と捉えることができ、動物の森の飼育個体も、一部が交代で、ふれあい動物舎(前掲)に出ています。しかし、かれらは元々はヨーロッパ系のアナウサギ(野生動物)を飼いならしたものです。

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かれらが放し飼いにされた、この運動場では、穴掘り行動や、後ろ足が前に着き、前足2本は前後に並ぶという独特の足運びでの走りなど、当園のコンセプトにふさわしい自然な習性の数々が観察できます。穴は、そのままにしておくとウサギが脱走してしまうので、ウサギを寝部屋に収容した後に、飼育員が埋め戻しています。

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こちらも、動物たちの自然な暮らしを支える飼育の営みが見て取れる構図。オグロプレーリードッグは、自分たちで掘った巣穴で暮らしています。しかし、そんな野生的な生活が出来るのも、日々の整備に余念がない飼育員の働きがあってこそです。動物園は、もっぱら「野生を展示する場」。だからこそ、そんなありようの基盤となる、行き届いた施設や入念な飼育管理が必要なのです。

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広々とした園内を一番満喫しているかとも思われるエジプトガン。園内随所で出逢えます。かれらとわたしたちが、ともに和める世界。それは人の手で支えていかなければならないものでもあります。動物の森の日常は、それを教えてくれているように思えます。

 

次回は、3/25(水)の掲載予定です。

 
海の中道海浜公園・動物の森
人と自然がふれあう動物園
公式サイト
〒811-0321 福岡市東区大字西戸崎18-25
Tel:092-603-1111(海の中道海浜公園管理センター)
飼育動植物 約50種500点
開館時間
3/1~10/31 9:30~17:30
11/1~2月末 9:30~17:00
※プール営業日は、9:00~18:30(季節によって変更することがあります)
休館日
12/31・1/1・2月の第1月曜日とその翌日
自然災害(台風・大雨・地震・津波等)によりお客様の安全な利用が確保できない場合は臨時休園します。

アクセス
JR香椎線・海ノ中道駅下車すぐの海の中道駅口ゲートから動物の森東口まで、徒歩で約20分(※)。詳しくは、こちらを御覧ください。

園内移動用のパークトレインやレンタサイクルもあります。

 

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進化の系統において、わたしたちとごく近縁のチンパンジー。その知性もヒトにかなり近く、生来の器用さもあいまって、野生でも、さまざまな道具使用を行なうことが知られています。葉を取り除いた枝をシロアリの巣に差し込んで、枝にたかってくるシロアリを食べるのも、代表的な例です。この写真のように飼育下でも、そんなふうにしてつくった道具(枝)の先を噛みほぐして、人工アリ塚に仕込まれた、シロアリ代わりの特製ジュース(リンゴ・ミカン・バナナ)を染み込ませて飲んだりします。

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日替わりで、チンパンジーたちの日常を活気づける、さまざまな試みを行なう「チンパンジーの今日はなんの日??」(※)。観覧用のウィンドウに、薄切りのリンゴを貼りつけ、蜂蜜を塗っています(塗り跡が図形になっていたりします)。

 

※実施スケジュールは、園のサイトを御覧ください。

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見事なジャンプ!それでも届かなければ……ここでも自前の道具使用の知恵が見られます。

 

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チンパンジー展示場前のカウンター。「モンキーワークス」は、霊長類飼育班の別名ともいうべきものです。ミニ情報や工作物。サイコロ状やチンパンジーをかたどったぬいぐるみは、園内の様々な動物たちの赤ちゃんの、およその体重となるように調節されています。動物たち(特に野生動物)とは適切な距離を保たなければなりませんが、これなら、かれらの赤ちゃんの重みを体感できますね。

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ここで御紹介した給餌の工夫などは、わたしたちにチンパンジーの能力や魅力を伝えてくれる展示効果もありますが、同時に飼育下のチンパンジーたちの生活を、少しでも充実させようという飼育の取り組みでもあります。そんなことについても、わかりやすい解説が設けられています(この問いかけのプレートをめくると回答が見られます)。

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高いタワーや、遊び道具の毛布も、展示・飼育の工夫の例。毛布を取り合うのは、今年で9歳のミルク(上)と10歳になるモモの異母姉妹。群れでの飼育は、チンパンジーの自然な社会的な行動を引き出します。ことには、子どもたちの活発さが際立ちます。

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わたしたちの目の前で積み重ねられる飼育の努力はこちらにも。二年半ほどを隔てて写したサル山です(2012/8/24・2015/1/16撮影)。いろいろと作りこまれた中で、植栽等の緑が増しているのが、お分かりでしょうか。

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現在も進行中の「サル山緑化計画」です(※)。植栽だけでなく、差されている枝葉も園内での自給です。サルたちが食べない種類も入れてやります。それらに対してもサルたち(特に1~2歳ころの子ザルたち)は、においをかぎ、ちぎり、飛び移る、などして楽しみます。

 

※サル山緑化計画については、こちらを御参照ください。

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サル山で暮らすのは総勢49頭。個体紹介も整備されています。

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手づくりの温かみを感じる布絵本。野生のニホンザルとわたしたちをめぐる現状、それを乗り越えるために人間に出来ること、などがやさしく適切にまとめられています。

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このホワイトボードに質問を書いておくと、飼育員が回答してくれます。飼育員ひいては動物園は、情熱を傾けて、わたしたちと動物をつなごうとしています。

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到津の森公園の活動を支えているのは、園のスタッフだけではありません。朝一番から、餌の野菜や果物を鮮やかな手並みで切っているのは、当園の市民ボランティア「森の仲間たち」飼育グループのTさんです(※)。餌切りのボランティアの皆さんに共有されている、消しゴム製のお手本は、ベテランのTさん御手製です。

 

※「森の仲間たち」は、2002年3月、市民自らが立ち上げ、到津の森公園開園以来たくさんの方が園内で活躍しているボランティア組織です。詳しくは、こちらを御覧ください。

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オウギバトの餌の規準は0.5cm角。前回の記事に登場したオオサイチョウでは、1.5cm角で皮を剥くこと、など、飼育員とボランティアの永年の連携が、動物たちの日常・健康の基盤までも支えています。

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高さ13m、広さも700平方メートルを超えるバードケージ。さまざまな鳥たちが放し飼いにされているここでも、ボランティアの皆さんが活躍しています。

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朝一番、飼育員もボランティアの皆さんも、それぞれに整備や清掃に努めています。

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そんな作業を静かに見守る(?)クロサギ。

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アカハシリュウキュウガモは、その名とはいささかちがって中南米の水鳥です。

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こちらは実習生の手製看板。観察へのいざないです。動物園という場は、多様な人々の想いや力の複合から成っています。元より、来園者であるわたしたちも、その一翼を担っています。

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起伏に富んだ園内。植生の温存された斜面の一角には、野草園もあります。「森の仲間たち・里山ガイドグループ」の皆さんが、園内の野草の保全に取り組んでいるエリアです。

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野草園のすぐそばでは野菜栽培も行なわれています(やはり、「森の仲間たち」の取り組みです)。一般来園者は立ち入れませんが、少しだけなら覗き込むことも出来ます。

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さらに「郷土の森林」と名づけられた、郷土(日本産・地元産)の動物たちのゾーンを巡っていきましょう。屋内展示である「里のいきもの館」は、里山ゾーンの拠点です。

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アオダイショウ・ニホンヒキガエル・ニホンアマガエル・ヌマガエルなどの展示が並びます(写真はヌマガエル)。幾種類確認できるでしょう?各水槽内のレイアウトは、種ごとの生息環境を意識しています。

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こちらは渓流とその周辺に関する複合展示。中央のトンネルに潜り込めば、トビズムカデの姿も。日本産ムカデ類では最大級で、咬まれれば、強い毒がありますが、ゴキブリまでも捕食する「つわもの」です。

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観察する側もひととき、お魚気分……

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さて、ふたたび、斜面にそっての散策です。「こもれびの径」では、バードケージとは一味ちがう、日本の森の鳥たちとの出逢いがあります。かれらの時間をかき乱さぬよう、そっと歩み入りましょう。

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その名の通りのシロハラはツグミの仲間。

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飛ぶのはあまり得意ではないバンですが、茂みを素早く歩き回り、圧力を分散する特徴的な足は湿地でもはまり込まずに進めます。

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こちらの展示場。見下ろしても、なかなか動物が見当たらない……

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回り込むと、ホンドタヌキに逢えました。民家の庭先をイメージした展示は、わたしたちと同じ日本で、人間の暮らしとも交わりながら生きてきたかれらのありようを気づかせてくれます。

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こちらは、森の一角をそのまま囲い込んだもの。その住人とは……

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ムササビです。夜行性なので、夜間開園の時などを除けば、めったに出逢えませんが、心づくしの解説なども参照しつつ、かれらの生活を思ってみましょう。このケージの中には、カルガモやノウサギも同居しているとのことです。

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上り詰めた広場。そこに、ひとつの石碑が立っています。かつて到津遊園(到津の森公園)の園長でもあった児童文学者・阿南哲朗による詩「森の友たち」が刻まれた動物慰霊碑です。そこには、阿南さんの目に映った、到津の森の歴史、動物たち・子どもたち・おとなたち、そして、共に働いたスタッフへの想いが籠められているのでしょう。

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最後は、こちら。「ゆめある動物園ぷろじぇくと」は、さまざまな取り組みを通して、来園者の皆さんと、夢ある動物園を考えるというコンセプトで、既に50回以上続けられている定例イベントです。このパネルは、第46回「野鳥の看板を作ろう!」で作成されました(※)。絵の具を組み合わせて、新しい色をつくり、鳥たちの姿を表現していく試みを「いろのまほう」と名づけています。さきほども記したように、人も動物もみな、森の友・仲間である、それが到津の森公園の精神と言えるでしょう。それぞれに個性的な者たちが混ざり合えば、個々の限界をも超えた色とりどりの可能性が花開くのです。到津の森公園では、今日も、そんな「日常の魔法」が働き続けています。

 

※詳しくは、こちらを御覧ください。

その1 その2

次回は来週3/4(水)に掲載予定です。

 

到津の森公園

市民と自然を結ぶ「窓口」となる、動物のいる公園

公式サイト

〒803-0845 福岡県北九州市小倉北区上到津4-1-8

Tel:093-651-1895(9:00~17:00)

飼育動物 約100種500点

開園時間

9:00〜17:00

夏休み・大型連休・年始は営業時間が異なります。

詳しくは、こちらを御覧ください。

休園日

毎週火曜日

ただし、3〜5月、8月は無休で営業いたします。

アクセス

小倉駅バスセンター3番乗り場から約20分。「到津の森公園前」降車。

その他、こちらを御覧ください。

 

※ふれあい・餌やり等の体験は、有料・不定期・期間限定のものもあります。詳しくは、園のサイト等を御参照ください。

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バス通りに面し、街なかといってもいい到津の森公園ですが、園内に踏み入れば、まさに「森のみどり」を感じられます。そんな中にある、このデッキ。

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デッキの上は「樹冠の世界」と名づけられ、熱帯林の樹上高くで暮らす動物たちを、わたしたちが訪ねていくという趣向になっています。フクロテナガザルのチャン(オス)は、当年43歳(推定)。国内最高齢となりますが、隣のケージの息子(マツ)とメスのクロミのペアに負けじと、のど袋をふくらませて、テリトリーを主張します(※)。特に、朝夕が聴きどころかと思われます。

 

※当園には、マツ・クロミの娘で(2014/1/10生まれ)、現在、バックヤードで人工哺育中のアロナもいます。飼育員によるブログ記事を御覧ください。

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同じくデッキの上。野生のオオサイチョウには、オスがメスに木の実などを与えるという習性があります。けれども、当園のペア、オオ(オス)とサム(メス)の場合、サムからオオに食べものを渡そうとする行動が見られることも。目が赤いのがオオ、白目が目立つのがサムです。

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向かい合う二頭のメスのアジアゾウ。左がラン、右がサリーです。二頭はいろいろな兼ね合いから、毎日交代で運動場を使っていますが、朝のひと時だけは寝部屋の清掃・整備を待って、おそろいの姿が見られます。

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こちらはサリー。ゾウ展示の前に設けられた専用の販売機で餌を買い、備え付けの竹筒の助けを借りれば、小さな子どもさんでも、この通り。

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アフリカの森の中で群れで暮らし、地上にも降りるが、樹上も得意なマンドリル。高さのあるケージが熱帯林の樹上に近い活動を可能にするとともに、林床を演出する植栽や敷き詰められた落ち葉は、飼育員の心づくしです。落ち葉の中には、粟・麻の実・ヒマワリの種などが仕込まれていて、それらを探すことで、これもまた野生に近い、食べものを探しながらの退屈知らずの生活の再現が試みられています。このような採食の様子を観察していると、かれらの器用な手先が環境への適応から進化してきたのが、よくわかりますね。

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母親のココに抱かれているのは、メスのニコ(2013/8/18)。ひとりで飛び回っていることもありますよ。

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こちらはマンタロウ。華やかな顔やお尻は、群れを率いるおとなオスの証です。ニコの父親であるとともに、ココの妹ドリーや、姉妹の母親アンを含めての一家のリーダーということになります。

itozu_150118 407r (2)大きなサイコロ、何が出るかな?当たったキーワードに沿って、飼育員がキリン・ガイドのミニ・トークを展開します。貴重な骨格標本などが登場することもあります。

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ガイドの後は、特製の餌箱がある観察台の上に。飼育員が入れた枝葉を、キリンの長い舌が巻き取る食事風景です。この餌箱は、キリンの生態をより豊かに展示したいという想いでの、飼育員のお手製です。

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この一帯は「草原の世界」。チャップマンシマウマからアミメキリンへの通景です。

キリンは、オスのトーマです。

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シマウマの縞模様は種ごとに独特のパターンがあるとともに、個体差もあります。この顔はエルメス……それともハッピー?

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ひととき、アフリカのサバンナを行く気分で歩めば、やがて、目の前に連なるのはミモザの並木。2月末に向けて開花が進み、華やぎを増しつつあるのではと思います(撮影は2015/1/16)。紅葉や桜の名所としても知られていた到津遊園(西日本鉄道の経営)から、北九州市の所管の「到津の森公園」となってリスタートした時期(2002/4新規開園)に植えられた、新生のシンボルです(※)。ミモザの花ことばは「秘めた恋」ですが、到津の森公園にとっては、また別の想いも込められた場と言えるでしょう。

ミモザの花期が過ぎる4月には、木彫りの動物たちで賑わう、春の企画展も待ち受けています(4/5からの予定)。詳しくは、園の公式サイトを御覧ください。

 

※到津遊園から到津の森公園へと至る歴史について、こちらを御覧ください。

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さらに回り込めば、南アフリカの乾いた土地にトンネルを張り巡らし、家族で暮らすミーアキャットたち。小柄なかれらにしてみれば、暖かな春は、さぞや待ち遠しかったことでしょう。

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ミーアキャットに倣って、こちらもしばし根気よく、さらなる通景(ミーアキャット~シマウマ~キリン)を狙ってみてもよいでしょう(2012/8/24撮影)。

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さきほどのトーマと入れ替わりの展示になっているのは、メスのマリアと、マリア・トーマの娘「いと」(2013/10/24生まれ)。キリンは生まれた時の体高も180cmほどありますが、「いと」は一年(2014/10現在)で330cmと、まさにすくすく成長中です。

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2011/4開設の「マダガスカルの世界」。マダガスカルは、アフリカ大陸の南東・インド洋西部の島国ですが、アフリカ大陸とは異なる地史を持ち、そこに住む動物たちも独特です。

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建物自体が森を鳥瞰する高みと林床の目線という対照的なビューを再現しているこちらの展示の主役は、原始的な特徴を遺す霊長類のキツネザル類(マダガスカル固有)。まずは、尾の輪っか模様が特徴的なワオキツネザル。ネコのような鳴き声も印象的なので、そっと耳を澄ませてみてください。のんびりと食事をするメイ(メス)は、群れの最長老です(1995/3/18生まれ)。ひ孫まで含む「メイちゃんグループ」で展示されています(もう一群の「フリルちゃんグループ」と交代制)。

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かたや、こちらはエリマキキツネザル。ふわふわのマフラーのような毛並みです。驚いた時などは、全員が連鎖しながら、思いがけないほどの大声で鳴き騒ぎます。

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飼育員が中に入っての給餌解説。群れの父親個体であるチビは、早速、おねだりモードなのですが、母親個体のルカに、思い切り弾き飛ばされていました。群れの仲間・ペアの相手とはいえ、食事となればシビアです。

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施設内にぶら下げられたこれは、フィーダー(給餌器)です。小さく切ったリンゴが入れてありますが、ボールも一緒に入っているため、簡単には取り出せません。あれこれ工夫させることで動物たちの採食時間を延ばし、退屈を防ぎます。同時に、かれらの身体能力を引き出し、展示に精彩を加える効果もあるのです。

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再び、平原へ。プレーリードッグは、その名の通り、北アメリカの草原地帯(プレーリー)に掘った巣穴で暮らす、地上性のリス類です。さきほどのミーアキャットとも見比べたいところですが、かれらの展示場も含むゾーンが、当園の「ふれあい動物園」です。

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定番、モルモット(テンジクネズミ)。現在、64頭が飼育され、チーム分けされたメスたちが「ふれあい」に出場します(※)。

 

※お顔が未加工の画像は、来園者の御了承を得て、掲載しています(以下同様)。

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ヤギたちの集う「いとうづ山のガラガラドン」。ヤギたちの身体能力や、家畜化以前からの暮らしを彷彿とさせる構造です。楽しい餌やりは、間近での観察のチャンス。たとえば、ヤギの瞳はどんなかたち?

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ロバの「乗馬体験」は、ちょっと珍しいかもしれませんね。はい、シャッターチャンス!

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今年の干支をお忘れなく。

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園路をはさんでの、レッサーパンダの展示施設。かれらが、すっくと立てるのは、わたしたちと同じように、足の裏全体を地面に着けて歩ける構造(蹠行性)を持つからです。ガラスに張り付けられたリンゴを取るのも、この通り(※)。

 

※野生では、直立姿勢が周囲への警戒などの役に立つとされています。

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ごろんとおなかを見せるのは、1991/6/24生まれのオス・楠(くす)。世界最高齢です。寄る年波で目は不自由ですが、マイペースな暮らしを楽しんでいます。

 

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レッサーパンダとの複合施設になっているのはアライグマ。レッサーパンダ科とアライグマ科は近縁とされています。なにやら期待する様子なのは……

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販売されている専用の餌を、二重になっているガラスの隙間から入れてあげることができます。「餌を洗う」などと捉えられる独特の行動は、水中の小動物などを探り当てて捕らえるためと言われていますが、与えられた固形飼料をわざと水に落としてから食べるのは、柔らかくするためでしょうか。それとも狩りの本能を満たすため?ふと、アライグマの野生にも思いを馳せてみたりします。

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そしてまた、アフリカの平原。キングとライのライオン・ペア。ライは、生粋の「肉食女子」です。

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こちらも凛としたアムールトラのミライ(メス)は、アジア北部(もっぱら、森の林床)を代表する大型肉食獣です。

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「トラナンデス」は、楽しい解説を聴きつつ、ミライの迫力満点の食事風景(鶏肉・馬肉)を観察することが出来るイベントです。

樹冠・林床・平原あるいは「ふれあい」、そしてロマンティックな花咲く並木。到津の森公園は、わたしたちと自然の「窓口」として、さまざまな出逢いや憩いの場を織り成しています。次回は、そんな「森」のさらなる奥へと歩み入ってまいりましょう。

 

※次回は、2/25(水)の掲載予定です。

 

到津の森公園

市民と自然を結ぶ「窓口」となる、動物のいる公園

公式サイト

〒803-0845 福岡県北九州市小倉北区上到津4-1-8

Tel:093-651-1895(9:00~17:00)

飼育動物 約100種500点

開園時間

9:00〜17:00

夏休み・大型連休・年始は営業時間が異なります。

詳しくは、こちらを御覧ください。

休園日

毎週火曜日

ただし、3〜5月、8月は無休で営業いたします。

アクセス

小倉駅バスセンター3番乗り場から約20分。「到津の森公園前」降車。

その他、こちらを御覧ください。