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進化の系統において、わたしたちとごく近縁のチンパンジー。その知性もヒトにかなり近く、生来の器用さもあいまって、野生でも、さまざまな道具使用を行なうことが知られています。葉を取り除いた枝をシロアリの巣に差し込んで、枝にたかってくるシロアリを食べるのも、代表的な例です。この写真のように飼育下でも、そんなふうにしてつくった道具(枝)の先を噛みほぐして、人工アリ塚に仕込まれた、シロアリ代わりの特製ジュース(リンゴ・ミカン・バナナ)を染み込ませて飲んだりします。

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日替わりで、チンパンジーたちの日常を活気づける、さまざまな試みを行なう「チンパンジーの今日はなんの日??」(※)。観覧用のウィンドウに、薄切りのリンゴを貼りつけ、蜂蜜を塗っています(塗り跡が図形になっていたりします)。

 

※実施スケジュールは、園のサイトを御覧ください。

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見事なジャンプ!それでも届かなければ……ここでも自前の道具使用の知恵が見られます。

 

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チンパンジー展示場前のカウンター。「モンキーワークス」は、霊長類飼育班の別名ともいうべきものです。ミニ情報や工作物。サイコロ状やチンパンジーをかたどったぬいぐるみは、園内の様々な動物たちの赤ちゃんの、およその体重となるように調節されています。動物たち(特に野生動物)とは適切な距離を保たなければなりませんが、これなら、かれらの赤ちゃんの重みを体感できますね。

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ここで御紹介した給餌の工夫などは、わたしたちにチンパンジーの能力や魅力を伝えてくれる展示効果もありますが、同時に飼育下のチンパンジーたちの生活を、少しでも充実させようという飼育の取り組みでもあります。そんなことについても、わかりやすい解説が設けられています(この問いかけのプレートをめくると回答が見られます)。

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高いタワーや、遊び道具の毛布も、展示・飼育の工夫の例。毛布を取り合うのは、今年で9歳のミルク(上)と10歳になるモモの異母姉妹。群れでの飼育は、チンパンジーの自然な社会的な行動を引き出します。ことには、子どもたちの活発さが際立ちます。

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わたしたちの目の前で積み重ねられる飼育の努力はこちらにも。二年半ほどを隔てて写したサル山です(2012/8/24・2015/1/16撮影)。いろいろと作りこまれた中で、植栽等の緑が増しているのが、お分かりでしょうか。

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現在も進行中の「サル山緑化計画」です(※)。植栽だけでなく、差されている枝葉も園内での自給です。サルたちが食べない種類も入れてやります。それらに対してもサルたち(特に1~2歳ころの子ザルたち)は、においをかぎ、ちぎり、飛び移る、などして楽しみます。

 

※サル山緑化計画については、こちらを御参照ください。

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サル山で暮らすのは総勢49頭。個体紹介も整備されています。

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手づくりの温かみを感じる布絵本。野生のニホンザルとわたしたちをめぐる現状、それを乗り越えるために人間に出来ること、などがやさしく適切にまとめられています。

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このホワイトボードに質問を書いておくと、飼育員が回答してくれます。飼育員ひいては動物園は、情熱を傾けて、わたしたちと動物をつなごうとしています。

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到津の森公園の活動を支えているのは、園のスタッフだけではありません。朝一番から、餌の野菜や果物を鮮やかな手並みで切っているのは、当園の市民ボランティア「森の仲間たち」飼育グループのTさんです(※)。餌切りのボランティアの皆さんに共有されている、消しゴム製のお手本は、ベテランのTさん御手製です。

 

※「森の仲間たち」は、2002年3月、市民自らが立ち上げ、到津の森公園開園以来たくさんの方が園内で活躍しているボランティア組織です。詳しくは、こちらを御覧ください。

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オウギバトの餌の規準は0.5cm角。前回の記事に登場したオオサイチョウでは、1.5cm角で皮を剥くこと、など、飼育員とボランティアの永年の連携が、動物たちの日常・健康の基盤までも支えています。

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高さ13m、広さも700平方メートルを超えるバードケージ。さまざまな鳥たちが放し飼いにされているここでも、ボランティアの皆さんが活躍しています。

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朝一番、飼育員もボランティアの皆さんも、それぞれに整備や清掃に努めています。

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そんな作業を静かに見守る(?)クロサギ。

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アカハシリュウキュウガモは、その名とはいささかちがって中南米の水鳥です。

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こちらは実習生の手製看板。観察へのいざないです。動物園という場は、多様な人々の想いや力の複合から成っています。元より、来園者であるわたしたちも、その一翼を担っています。

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起伏に富んだ園内。植生の温存された斜面の一角には、野草園もあります。「森の仲間たち・里山ガイドグループ」の皆さんが、園内の野草の保全に取り組んでいるエリアです。

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野草園のすぐそばでは野菜栽培も行なわれています(やはり、「森の仲間たち」の取り組みです)。一般来園者は立ち入れませんが、少しだけなら覗き込むことも出来ます。

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さらに「郷土の森林」と名づけられた、郷土(日本産・地元産)の動物たちのゾーンを巡っていきましょう。屋内展示である「里のいきもの館」は、里山ゾーンの拠点です。

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アオダイショウ・ニホンヒキガエル・ニホンアマガエル・ヌマガエルなどの展示が並びます(写真はヌマガエル)。幾種類確認できるでしょう?各水槽内のレイアウトは、種ごとの生息環境を意識しています。

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こちらは渓流とその周辺に関する複合展示。中央のトンネルに潜り込めば、トビズムカデの姿も。日本産ムカデ類では最大級で、咬まれれば、強い毒がありますが、ゴキブリまでも捕食する「つわもの」です。

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観察する側もひととき、お魚気分……

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さて、ふたたび、斜面にそっての散策です。「こもれびの径」では、バードケージとは一味ちがう、日本の森の鳥たちとの出逢いがあります。かれらの時間をかき乱さぬよう、そっと歩み入りましょう。

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その名の通りのシロハラはツグミの仲間。

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飛ぶのはあまり得意ではないバンですが、茂みを素早く歩き回り、圧力を分散する特徴的な足は湿地でもはまり込まずに進めます。

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こちらの展示場。見下ろしても、なかなか動物が見当たらない……

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回り込むと、ホンドタヌキに逢えました。民家の庭先をイメージした展示は、わたしたちと同じ日本で、人間の暮らしとも交わりながら生きてきたかれらのありようを気づかせてくれます。

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こちらは、森の一角をそのまま囲い込んだもの。その住人とは……

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ムササビです。夜行性なので、夜間開園の時などを除けば、めったに出逢えませんが、心づくしの解説なども参照しつつ、かれらの生活を思ってみましょう。このケージの中には、カルガモやノウサギも同居しているとのことです。

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上り詰めた広場。そこに、ひとつの石碑が立っています。かつて到津遊園(到津の森公園)の園長でもあった児童文学者・阿南哲朗による詩「森の友たち」が刻まれた動物慰霊碑です。そこには、阿南さんの目に映った、到津の森の歴史、動物たち・子どもたち・おとなたち、そして、共に働いたスタッフへの想いが籠められているのでしょう。

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最後は、こちら。「ゆめある動物園ぷろじぇくと」は、さまざまな取り組みを通して、来園者の皆さんと、夢ある動物園を考えるというコンセプトで、既に50回以上続けられている定例イベントです。このパネルは、第46回「野鳥の看板を作ろう!」で作成されました(※)。絵の具を組み合わせて、新しい色をつくり、鳥たちの姿を表現していく試みを「いろのまほう」と名づけています。さきほども記したように、人も動物もみな、森の友・仲間である、それが到津の森公園の精神と言えるでしょう。それぞれに個性的な者たちが混ざり合えば、個々の限界をも超えた色とりどりの可能性が花開くのです。到津の森公園では、今日も、そんな「日常の魔法」が働き続けています。

 

※詳しくは、こちらを御覧ください。

その1 その2

次回は来週3/4(水)に掲載予定です。

 

到津の森公園

市民と自然を結ぶ「窓口」となる、動物のいる公園

公式サイト

〒803-0845 福岡県北九州市小倉北区上到津4-1-8

Tel:093-651-1895(9:00~17:00)

飼育動物 約100種500点

開園時間

9:00〜17:00

夏休み・大型連休・年始は営業時間が異なります。

詳しくは、こちらを御覧ください。

休園日

毎週火曜日

ただし、3〜5月、8月は無休で営業いたします。

アクセス

小倉駅バスセンター3番乗り場から約20分。「到津の森公園前」降車。

その他、こちらを御覧ください。

 

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