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家族おそろいで何を覗いていらっしゃるのでしょう?ヒントは窓のイラスト。

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世界最大級のリクガメ・アルダブラゾウガメです。メスのチョコは、三頭いるゾウガメの中で一番小さく、甲羅の長さは約50cmです。他の個体と見比べてみてください。

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こちらは、おなじみのカピバラ。かれらも齧歯類としては最大種です。

アクア・トトぎふの、いわばウェルカム展示2点。かれらとは、餌やり・ふれあい体験もできます(※)。

 

※その他、イベント・体験学習のスケジュールは、こちらをごらんください(有料のものや事前予約制のものもあります)。

 

さて、それではいよいよ、本格的に館内へと入っていきましょう。

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来館者は、まず、エレベーターで4階に導かれます。ここから階を下っていくのですが、展示の構成自体も、川の上流から下流・河口へと向かうようになっています。モデルとなっているのは地元・長良川。日本三大清流に数えられ、木曽三川(長良川・木曽川・揖斐川)のひとつです。写真はスタート地点。実際に澄んだ水に触れることが出来ます。

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展示されているのは動物だけではありません。豊富な植栽が、奥山に佇む想いを深めてくれます。写真中央下に写り込んでいるように、植栽も含めた解説プレートも備えられています。

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岩の狭間でマイペースな時間を過ごすのは、ナガレヒキガエル。中部地方・近畿地方の山間部の渓流に住んでいます。アクア・トトぎふでは、2009年に飼育下繁殖に成功しました(※)。ゼリー層に包まれて紐状に連なった卵(卵紐)が孵化し、無数のオタマジャクシ(幼生)が変態・上陸するまでの様子は、当時、展示として一般公開されたとのことです。

 

※国内の動物園・水族館初の飼育下繁殖として、日本動物園水族館協会より繁殖賞を受賞しました。

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アズマヒキガエルはナガレヒキガエルと同所的に暮らしていることもあります(当館でも同じ展示場を共有しています)。アクア・トトぎふでは、こちらも繁殖させています。

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ほとばしる滝。その滝壺に泳ぐのはアマゴです。イワナよりも、やや下流ながらも山の川魚として知られるかれらですが……

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さらなる長良川の魅力を求めて、緩やかなスロープを下っていきます。

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この展示。実は、さきほどのアマゴの展示の水中深くとなっています。そして、展示に二つの顔があるだけではなく、アマゴそのものが、もうひとつの名前と姿を持っています。それは「サツキマス」です。アマゴは、その一生を川で過ごしますが(河川残留型)、一方で川の上流で孵化した後、川を下りながら成長していく個体もいます(回遊型)。この回遊型に与えられた名前がサツキマスです。かれらはやがて海に至り、そこで川に残ったアマゴの二倍ほどにまで大きくなると、再び、川を遡って産卵します。時まさにサツキの花が咲くころです。アマゴ(サツキマス)はサケの仲間で、このような回遊はサケの仲間では広く見られる習性です。川と海を結ぶかれらは、アクア・トトぎふを代表するにふさわしい魚のひとつと言えるでしょう。

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岐阜県の渓流では、こんな動物も暮らしています。食虫哺乳類のカワネズミです。ネズミと名づけられていますが、むしろモグラなどと近縁です(※)。No.4と呼ばれる展示個体はオスで、当館で飼育されるようになった時に6ヶ月齢程度と推定されました。それから、およそ2年4ヶ月が経ちました。カワネズミの平均寿命は3年とも言われますが、No.4はまだ元気な様子です(※※)。

 

こちらで動画を御覧いただけます。巧みなダイブで水中の魚を捕らえるさまも記録されています。
※※担当飼育員によるブログ記事も御覧ください。また、本文末尾に参考資料として挙げた『ぎふの淡水生物をまもる 増補改訂版』にも、飼育担当者による報告があります。

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コツメカワウソは、東南アジアの川で活動する小型のカワウソです。かつて、日本各地の人里近い川(中流~下流)にはニホンカワウソが生息していました。1979年の高知県での事例以降、目撃報告はなく、2012年に環境省によって絶滅種の指定がなされました。かれらの減少・絶滅の要因には、毛皮のための乱獲や生息環境そのものの変化などが考えられますが、いずれにしろ人間活動の影響を被ったのは確かです。

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毎日の「フィーディングウォッチ&ポイントガイド」の中でコツメカワウソが見せてくれる「水に適応したハンターとしてのイタチ類」の姿に、日本の河川環境と一体となって生きたニホンカワウソを思ってみるべきでしょう。それは、さきほど紹介したカワネズミをはじめ、いまもわたしたちと生活を関わらせている動物たちの存在に目を向け、未来・将来へのわたしたちの責任を問い直すことにもつながると思われます。

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ここにも、川のさまがわりの中で脅かされている生きものがいます。タナゴの仲間のイタセンパラです(※)。岐阜県下では一度は絶滅視されていましたが、2005年に木曽川でアクア・トトぎふのスタッフによって再発見され、当館をはじめ、野生・飼育下での保全が進められています。タナゴの仲間は二枚貝に産卵する習性があります。イタセンパラは、川の中流~下流の入り江や水たまりに住み、そこに住む貝と関わりながら繁殖してきました。岐阜では、そんな場所を「ワンド」と呼びます。河川工事などを含む、人の生活の変化がワンドをめぐる生きものたちのつながりを切り離してきた経緯があります。濃尾平野の自然のシンボルフィッシュともいうべきイタセンパラの泳ぐ水に、わたしたちの現在が映し出されています。

 

※国の天然記念物・国内希少野生動植物種に指定されています。

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豊かな川の恵みで潤う田んぼ。その土手には、ぷりぷりとしたヒガシニホントカゲや、ほっそりとしたプロポーションのニホンカナヘビが暮らしています。ひとつの水槽の中で展示されるかれらをよく見比べてみましょう。

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コイ・ナマズ・ニホンウナギ……みんなで観察。

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豊かな水は、和紙づくりの伝統も支えてきました。引き出しのあちこちに収められた和紙製品。顔パックだってあるのです。

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トビハゼは河口付近の干潟に住みます。空気中では、主に皮膚呼吸。胸鰭の付け根には筋肉が発達しています。また、腹鰭は、なかば吸盤状になっています。

 

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長良川を下り終えても、まだやっと3階フロアを歩き終わっただけです。今度は、日本国内の他地域、そして世界の河川へと旅が続きます。北海道・釧路湿原近辺。体長1.5mに及ぶ日本最大の淡水魚イトウはサケ科、すなわち日本における北方系の魚類の代表のひとつです。

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一方で、岡山県東部を流れる吉井川からは、ドジョウ科のアユモドキ。広くはコイの仲間ということになります。日本の淡水魚類は、かつて大陸と地続きになった時に移入してきました。北方系の魚類がアジア北部から、いまの東北日本を中心に広がっていったのに対し、コイ類などは、中国大陸などの東アジアから西南日本に分布を広げていったのです。

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シニボティア・ロブスタは中国に住むアユモドキの仲間です。日本ではアユモドキは1種ですが、中国から東南アジアにかけての約40種の同類たちは、先ほども記した「日本列島の地史」の生きた証となっています。

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チベット高原からインドシナ半島を流れ、南シナ海に注ぐメコン川。その河口付近にある「日本人博士の探検小屋」という設定の展示は、ここまでに見てきた、日本とアジアの淡水生物の比較というコンセプトと結びついています。

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そんなメコン川の展示を代表するのが、メコンオオナマズ。その生態にはまだまだ謎が多く、今後の探究が期待されているとのことです。

顎の下に目を凝らすと……

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「鯰の髭」発見です。ほんの1~2cmですが。

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こちら、ナマズはナマズでもサカサナマズ。アジアの河川のエリアを過ぎて、アフリカ・コンゴ川の展示で出逢うことが出来ます。泳ぐときも逆さまのまま。この不思議な習性は、水面付近の小動物を捕食するためとも考えられています。しかし、水底では腹を下にするとのことで、水槽の側壁にも腹をつけるようにしているのが観察できました。

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デンキナマズは、表皮の細胞で450Vにもなる電気を起こして、小魚を捕らえます。普段から微弱電流で周囲の様子を探知してもいます(視力は弱く、明暗が分かる程度とされます)。自分の卵や稚魚を口の中で育てる習性も知られています(※)。

 

※以下で御紹介する、タンガニーカ湖のシクリッド類の習性についても、お読みください。

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タンガニーカ湖はコンゴ川の水系を遡ったところにある、世界指折りの巨大湖です。そこに暮らす魚類の大部分は、シクリッドと呼ばれる仲間です。

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シクリッド類では、親が仔稚魚を長期(時に数ヶ月)にわたって保護することが知られています。黒い横帯のキフォティラピア・フロントーサの場合、メスが直径8mmほどもある卵から生まれた稚魚を、時には数十尾も口内で保育します(※)。他にも、貝殻などに産卵し、そこを隠れ家とする稚魚を、親が見守り続けるといった種もいます。

 

※額の出っ張った、この個体は成熟したオスです。

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さて、そんなアフリカから大西洋を隔てた南アメリカのアマゾン川流域。そこは世界一ともいえる淡水魚の宝庫です。タイガーショベルノーズキャットは、体長1m前後に及ぶナマズの仲間です。

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デンキウナギは、アフリカのデンキナマズを遥かに上回る、800V近くの発電の記録を誇ります。ウシやウマなどの大型動物も気絶させると言われ、生物のつくる電圧としては最高記録となっています。

 

昨年(2014年)、開館10周年を迎えたアクア・トトぎふは、今年4/12まで、記念特別企画「神秘の大河・グレイトアマゾン」を開催しています。その大詰めは企画展「赤い清流・第二弾!アマゾンのシンボル カラシン展」です(※)。

 

こちらも御覧ください。

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身近なカラシン類には、熱帯魚のネオンテトラなども含まれますが、やはり、インパクトがあるのはピラニアでしょう。ピラニアとは総称なのですが、このピラニア・ナッテリー(Pygocentrus nattereri)は代表種のひとつです。今回の企画展のために現地を訪ねた飼育スタッフ自身による、楽しいエッセイも見どころです。ピラニアは、実は臆病者……

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しかし、やはり、この歯並びは……

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キロダスは、立ち泳ぎをするカラシンの仲間です。この習性は、水底の餌をついばむことから来ています。

まさに色とりどりのカラシン類は、実は既に触れたシクリッド類とともに、太平洋を挟んでアフリカ・南アメリカ双方に分布しています(※)。これは、長い地球の歴史の中で大陸が移動し、結合・分裂してきたことの証となっています。

 

※南アメリカのシクリッド類には、たとえば、エンゼルフィッシュがいます。

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最後に、体長2cmに満たない、このカエルを御紹介します。「かわいい」という感想は否めないのですが、その名もバンゾリーニヤドクガエルです。中南米に約180種いるヤドクガエル類には猛毒のものもおり、その中では本種の毒はあまり強くないとのことです。また、かれらの毒は餌となるダニやアリからつくられるので飼育下では無毒化するとも言われます。しかし、このポップともいえる外観はかれらを襲う捕食者に警戒を発する機能を担っていると考えられます。この小さな生きものにも、捕食・被食をはじめとするいのちのつながりあいがあり、進化の歴史が秘められているのです。

 

岐阜と世界の河川環境を体感できるアクア・トトぎふ。急ぎ足ながらも、そこでの学びの旅を楽しんできました。後篇では、あらためて、当館に息づくちいさないのちたちの大きな力を見つめてみたいと思います。

 

参考資料

楠田哲士・編(2014)『ぎふの淡水生物をまもる 増補改訂版』(こちらからのリンクでPDFが閲覧できます)

堀由紀子ほか執筆・編集(2013)『世界淡水魚園水族館”アクア・トトぎふ”ガイドブック 改訂版』江ノ島マリンコーポレーション

堀江真子・田上正隆・堀江俊介・池谷幸樹(2011)「飼育下におけるナガレヒキガエルとアズマヒキガエルの繁殖」『両生類誌』22:1-7

 

世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ

河川環境を学び、生きものたちと出逢いふれあう水族館

公式サイト

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

Tel:0586-89-8200

飼育動植物 約260種28500点

開館時間

平日 9:30~17:00(最終入館は16:00)

土日祝日 9:30~18:00(最終入館は17:00)

休館日
年中無休

臨時休館等の最新情報について詳しくは、こちらを御覧ください。

アクセス

東海北陸自動車道・川島パーキングエリア(及びハイウエイオアシス)から高速道路を降りずに入館可能。

その他、こちらを御覧ください。

 

 

 

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