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わんぱーくこうちアニマルランドは、前身となる高知市立動物園(高知城・敷地内)が、「わんぱーくこうち」の一角に移転することで開園されました(1993/4/2)。「わんぱーくこうち」は、アニマルランドのほか、観覧車や遊具で遊べるプレイランドなどの7つの施設が池を囲んで配されています。この写真では、右側にアニマルランドのバードハウスが見えます(※)。

※バードハウスは、アニマルランドのメインの敷地とは道を挟んだ飛び地にあり、鳥たちが自由に飛ぶ中に来園者が歩み入る構造です。残念ながら、現在は展示動物への鳥インフルエンザ予防対策として公開を見合わせています。

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動物園、それはなによりも人と他の動物たちの得難い出逢いの場です。アニマルランドの、アムールトラ・ライオン・ジャガーの展示場には、窓越しにかれらと向き合える、特設のボックスがあります。

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アムールトラのオス・ウリは時に水遊びも披露。

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ジャガーのハルは5/25で20歳と、かれらの寿命(15~20年程度)としては高齢個体ですが、そのシャープさは衰えていません。

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ちょっとユーモラスな、ライオンのオス・絆(2011/7/15・秋吉台自然動物公園生まれ=同年・アニマルランド来園)。いまや、たてがみも立派な若獅子ぶりで、メスのサンと同居していますが、ほんの二年前には、まだ赤ちゃんと言いたくなるような様子でした。

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その頃の写真やエピソードは、ライオン舎に掲示された、このマンガ(「岡ちゃん日記」)で。「岡ちゃん日記」は飼育スタッフの一人が作成し、当園の定期機関誌『アニマルランドニュース』に連載されており、刷り出された作品も園内各所で楽しめます(※)。
※アニマルランドニュースはバックナンバーを含め、こちらからお読みいただけます(PDF形式)。わたしも、この1月に発行されたNo.78と、ただいま編集中のNo.79の2回にわたって、「アニマルランドの歩き方」というエッセイを寄稿させていただきました。本ブログと重なるところもありますが、あわせてお読みいただければ、さいわいです。

 

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こちらが、リアル「岡ちゃん」(※)。園の事務所では、時に貴重な制作現場も目撃できます。

※後ろに写っているのはサーバルキャットです。トラ・ライオン・ジャガーといった大型ネコ類もよいけれど、正門ゲートからすぐのかれらも是非、御一覧を。

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アニマルランドで出逢える、迫力満点の異国の動物たちを巡ってきました。

しかし、当園は地元・高知に根差し、四国の独自の自然環境を意識した園づくりをすることを柱のひとつとしています。足を止めて、まなざしを向ければ、しっかりとした存在感のホンドタヌキ。後ろに写り込むオブジェも和風です。

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柵を挟んで交錯するのは、四国産ニホンカモシカ。メスのササ(手前)、オスのコウ。現在、この二頭は繁殖を期待されています。野生のニホンカモシカは、ふだん単独生活を送り、繁殖期にめぐりあうことになります。そこで動物園でも、このようなかたちで「出逢い」を演出しているのです(タイミングを見て、同居させます)。

かつては四国の広い範囲に分布していたと考えられるニホンカモシカですが、いまは高知・徳島県境を中心とする地域にのみ生き残っています。その分布域内でも分散傾向を見せており、オスメスの「出逢い」の減少から、繁殖が心配されています。アニマルランドでは、この希少なカモシカたちを飼育繁殖して守るとともに、展示を通して、その存在価値を伝え続けています。当園から搬出された個体を基に、とくしま動物園・広島市安佐動物公園・上野動物園で、四国産ニホンカモシカが飼育展示されています。本州産と比べると見た目も小柄で、遺伝的にも四国での独自の進化が窺われます。

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屋内展示施設「アニマルギャラリー」。こちらでも、アニマルランドが誇る、地元産動物種の保全の成果に出逢うことが出来ます。

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水場、そして落ち葉が降り積もり、シダが繁る岸辺。それは、ある動物の生息環境のミニマムな再現となっています。

 

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朽ちかけたイヌタデの茎の狭間にいるのは、オオイタサンショウウオのオスです。そして、岸辺側の落ち葉に潜むのは、同じくメス。成体のオオイタサンショウウオは、普段、このメスのように陸上で暮らしています。しかし、繁殖期が近づくと、まずオスが水中に入り、続いて、メスたちも移動してきます。メスが産卵すると(卵嚢と呼ばれる、いくつもの卵が寒天質に包まれたかたまりを産みます)、オスはその卵嚢に抱き着いて授精します。メスがイヌタデの茎を好んで産卵するので、オスは御覧のような待ち伏せを行なっているのです。

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これがオオイタサンショウウオの幼生です(※)。えらがあるのが分かりますね。アニマルランドのオオイタサンショウウオ飼育では、主にバックヤードで本格的な繁殖に取り組んでいますが、この展示内で産卵が見られることもあるとのことです。
※2015/2/25孵化。アニマルランドでは、5年連続での成功となります。

 

その名の通り、オオイタサンショウウオは九州産の小型サンショウウオです。しかし、高知県西部にぽつんと野生の生息地があります。アニマルランドのスタッフは、この生息地を調査し、放っておけば、貴重な四国産オオイタサンショウウオが生息地ごと絶滅してしまうと判断しました。そのため、現地(生息地)の保全(域内保全)に協力するとともに(※)、飼育下での保全(「域外保全」と呼ばれます)にも努め、2011年、動物園・水族館としては、はじめて繁殖に成功しました(※※)。この成果に対して、日本動物園水族館協会から繁殖賞が与えられています。

※高知市の外になりますが、市当局からも理解が得られました。現地では、人工池をつくるなど、生息環境の整備が進められています。

※※今年、バックヤードでは、2011年生まれの個体も産卵し、飼育下3世が生まれようとしています。このように飼育下では4年程度で性成熟するらしい、というのも、今後に向けての貴重な知見となります。

 

四国産オオイタサンショウウオが、どのようにして現在の分布に至ったかは、よく分かっていません。数十万年の昔、九州と地続きだった時代に移入したものの名残でしょうか。さきほどの四国産ニホンカモシカもそうですが、四国とその外の動物相の対比は、わたしたちに生きものと日本列島の歴史の深みを教えてくれます。

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アニマルランドでは、飼育技術を向上し、良質の展示を維持するため、そして、飼育下ならではの観察を行なうために、バックヤードでも何種類もの小型サンショウウオを飼育しています。その中にも、四国という場所の特異性とつながった種が見られます。

イシヅチサンショウウオは、かつては、本州(関西)や九州の一部に分布するオオダイガハラサンショウウオと同種とされていましたが、近年の研究により、新たに別種と認定されました。他地域との隔たりが、長い時間の中で種の分化にまで至った例と考えられます。

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シコクハコネサンショウウオも、本州に広く分布するハコネサンショウウオと同種との、従来の判断が、最近になって改められました。

アニマルランドでは、オオイタサンショウウオでの経験を活かし、これらのサンショウウオたちの飼育繁殖技術をも確立しようと努めています(※)。その過程で得られる知見は、野生ではなかなか観察できない生態の解明にもつながり、結果として、生息地での野生個体の「域内保全」にも貢献すると考えられます。

わたしたち一般来園者は、普段、バックヤードを覗くことはありませんが、それらを含めての動物園の飼育の営みは、展示に反映され、また、印刷物やサイトなどでも情報が発信されます。専門的研究と、一般向けの知識の普及や意識の啓発、それこそは動物園(水族館)が「生きた動物を飼育展示する」意義の中核を成していると言えるでしょう。

以上のようなことを頭の隅に置きながら、あらためてアニマルギャラリーの「ミニマムなオオイタサンショウウオ展示」を観覧していただければと思います。

 

※高知県には、オオイタサンショウウオを含め、5種の小型サンショウウオの生息が確認されています。このうち、オオイタサンショウウオとカスミサンショウウオは、既に述べたような止水性(たまり水で繁殖する)ですが、イシヅチサンショウウオやシコクハコネサンショウウオ、そして、コガタブチサンショウウオは流水性(水流の中に入り込んで繁殖する)です。流水性のサンショウウオは、止水性に比べ、野生での繁殖行動の観察の難しさも増し、飼育下での環境整備(ミニマムな再現)の必要要素を見極めるのにも困難が伴います。コガタブチサンショウウオについては、岐阜県の世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふでの実践例も御覧ください(アクア・トトぎふは、同種で繁殖賞を受賞しています)。

コガタブチサンショウウオも、最近の研究で、ブチサンショウウオから独立種となりました。
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アニマルギャラリーでは、世界最大級の両生類として知られるオオサンショウウオも展示しています。土曜日の15:30からのエサの時間では、魚まるごと、ぱくりといった姿が見られることもあります。この個体は、広島県産ですが、実は、このオオサンショウウオについても、最近、アニマルランドも関わってのスペシャル・ニュースがありました。

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今年(2015/2/4)、アニマルランドのスタッフを含む調査チームが、高知県北西部の川で、オオサンショウウオの幼生16個体を発見しました。内15個体が、現在、アニマルランドのバックヤードで一時保護されています。これまでも、四国の川で成体のオオサンショウウオが見つかることはありましたが、人の手で移されたのだろうという見方が強く、実際、一部ではそのような証拠も挙がっていました。今回の発見で、オオサンショウウオが四国で繁殖していることが確かめられたと考えられます。果たして、オオサンショウウオは四国でも人の手によらない分布をしてきたのでしょうか。それもまた、一時保護されている幼生たちの遺伝的研究などを通して、解明されることが期待されています。

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アニマルランドの飼育スタッフが、高知県の川で捕獲した野生のオオサンショウウオに、マイクロチップを埋め込んでいます。こうして、個体識別をした上で再放流し、かれらの行動を継続観察することも、四国のオオサンショウウオの謎を探究する手立てです。

 

ニホンカモシカ、サンショウウオ、……「地域に根差し、その社会や環境とも連携する動物園」、それが、わんぱーくこうちアニマルランドの重要な顔のひとつです。

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園内「カモシカ村」に隣接する「いきもの情報室」。ここでも、アニマルランドのスタッフ自身のフィールドワーク(現地調査)を含む、高知県の生きものと環境に関する、新鮮で貴重な情報に触れることが出来ます。

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「無料動物園」の気楽さ。ちょっとゲートを出て、わんぱーく内のレストラン「わんぱく」で小休止。マッサマン・カレーは、ココナツミルクを使った、マイルドな口当たりのタイ風カレーです。

 

後篇では、あらためて、日頃の気忙しさを離れて憩えるアニマルランドの魅力、さらには飼育動物たちの心身の健康の維持のために、スタッフが弛まず続けている営みなどを御紹介していきます。

 

参考資料

吉川貴臣、渡部孝(2015)「四国初・高知県におけるオオサンショウウオ自然繁殖を確認」動物園大学5 in 高知・ポスター発表。

※高知新聞に連載され、園内各所にも掲示されている「いきものウォッチ・県内」の記事も参考にさせていただきました。

 

わんぱーくこうちアニマルランド

動物たちを身近に感じる都市型動物園

公式サイト

〒780-8010 高知市桟橋通6-9-1

Tel:088-832-0189

飼育動物 97種511点(平成26年3月末)

開園時間

9:00~17:00

休園日

水曜日(祝日の場合翌日)・12/28~1/1

アクセス

とさでん交通(路面電車)・はりまや橋経由桟橋方面行き 桟橋通5丁目下車、徒歩で約10分。

その他、こちらを御覧ください。

 

 

 

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