※「黒猩々」とは、中国語でチンパンジーのことです。

※※かみね動物園では、ふれあい・餌やり・ガイドなど、定例・スペシャルのさまざまなイベントが行われています。これらの実施時間等については、同園のサイトや園内掲示などを御参照ください。

 

かみね動物園のキャッチフレーズは「太平洋が見える動物園」。園内の見晴らしのよいところに立つと、それがことば通りのものだと実感できます。

しかし、日立の海は、それ以上に特別な性格を持っています。
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きりりと翼を広げるウミウ。岐阜県・長良川などで有名な「鵜飼」に使われるのは、このウミウです。日立市十王町にある「鵜の岬」は、この鵜飼のためのウミウの捕獲を日本で唯一許可されている場所です(※)。日立で捕獲されたウミウが、全国十ヶ所以上の鵜飼の地に送られているのです。

※ウミウは、しばしば越冬のために南下し、暖かくなると繁殖地へと北上する渡りをします。日立の沿岸は、このような渡りをするウミウの休憩地となっているため、春と秋の二回にわたって、ウの捕獲が行われます。

 

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そんな伝統を記念するべく、かみね動物園でもウミウを飼育展示しています。給餌の時間など、水しぶきを上げてのにぎやかな姿も見られますが、その向こうに、鵜飼での活躍を思ってみるのもいいでしょう。

日本の野外では、他にカワウも見られますが、たとえば、くちばしの「口角」に当たる部分がウミウでは三角に尖るといった特徴で見分けられます。動物園なら、間近ではっきり確認できますね。

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こちらも「海の鳥」。フンボルトペンギンです。ペンギンは空を飛ぶ能力を失うことと引き換えに、海の中を飛ぶように泳げる翼を進化させました。「ペンギン村」では、水中をスマートに過ぎていく様子が観察できます。一方では、すぐ間近でぷかぷかと浮かぶ、のんびりした姿も見られる構造になっています。

 

 

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ペンギンのプールを満たす水。それは3kmほど離れた山の沢水を引いたものです。同じ水は、カバやカワウソなど、他の動物たちのプールにも使われています。

かみね動物園は、日立市の郊外の高台にありますが、さらに登っていくと、そこは「神峰山」と呼ばれる山になります。実は「神峰=かみね」なのです。神峰山頂に神峰神社(本殿)がありますが、動物園のすぐそばにも遙拝殿が設けられています。かみね動物園は、「鵜の海」を見晴らし、「神の峰」に見守られて、時が流れるところなのです。

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そして、こちらは動物園ならではの「森」です。

 

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「チンパンジーの森」のタワーの上。4頭のチンパンジーが寛いでいます。背中を向けているのはメスのヨウ。その手前が、ヨウの娘で2011/2/7生まれのゴウです。ゴウの毛づくろいをしているのが、異母弟に当たるリョウマ(2012/4/27生まれ)。そして、リョウマの母親のマツコです。

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「年子」のゴウとリョウマは、よく遊びます。いかにも無邪気で気ままな様子ですが、4歳となったゴウは、弟に対して手加減をすることもうまくなってきており、「お姉ちゃん」らしい成長を進めています。

 

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まだ、ヨウのおっぱいが恋しかったりもするのですが。

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ゴウとヨウ、リョウマとマツコ。いかにも自然な、二組の母子であり、また、同じ群れの仲間としての親密さを感じさせます。

けれども、このありさまは、自然にできあがったものではありません。

ゴウは誕生直後、ヨウがうまく抱けなかったこと、真冬だったことなどから人工保育となりました(※)。しばらくは飼育員の手で育てられましたが、無事に母親との再同居に成功し、1歳4ヶ月で、群れの中に入ることにも成功しました(この時点で、国内での歴代最速でした)。

※ヨウは過去にも、出産した子が人工保育になった履歴があります。

 

リョウマも同じような経過をたどっています。国内最高齢での初産(当時、推定34歳)だったマツコも、リョウマが標準を大きく下回る未熟状態だったこともあり、一時は息子を飼育員の手に委ねるしかありませんでした。しかし、ゴウを上回る速いスピードで母子の再同居に成功し、2013/4/23、マツコ母子も群れ入りを果たしました。

 

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チンパンジー飼育史を考えても異例な、かみね動物園の成果は、子どもたちを受け入れる群れの安定が大きく寄与したと考えられます。風格のある表情を浮かべるのは、ゴウ・リョウマの父親・ゴヒチ。かれの穏やかに群れをまとめる才覚と、父親としての愛情深さも忘れてはなりません。

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安心できる環境で、子どもたちはのびのびと育ちます。お尻に一房の白い毛(ベビーマーク)があるうちは、大概のことが許されると言われています。そして、子どもたちの活気が、群れを和ませ、元気づけているのもまちがいありません。かみね動物園の「チンパンジーの森」に行けば、誰もが納得することでしょう。

 

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最近、「一人前の男」の迫力を身に着けつつあるかと思われるユウ。この5/6で23歳となるゴヒチの息子です。ユウにとっても、弟妹あるいは幼い子どもがいる日常は、成長への刺激となっているようです。

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チンパンジー、そして、展示場に潜り込めるカプセルの中の来園者までが、何かを期待して見上げています。飼育員が、おやつを投げ与えているのです。地上だけでなく、タワーの上に陣取るなど、それぞれの個性や、お互い同士の関係などが垣間見えるひとときです。

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こんなものも登場。ジョウロの中にも餌が隠されています。手間をかけての採食は、野生でも同じことですし、遊び道具になるものを与えることは、動物園の限られた空間や環境条件の中でも、チンパンジーたちの生活に変化や彩りを与え、かれらの知能を発揮させる機会となります。

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人工物であるタワーも、日本の気候風土では再現しにくい、熱帯林(チンパンジーのふるさと)の高さや、枝の広がり、頑丈な蔓植物などの構造・機能を補うことになります。

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さらに、チンパンジーたちに「本物の緑」をプレゼントする試みも続けられています。かみね動物園では、過去6回、毎年「チンパンジーの森植樹祭」が行われ、参加者の持ち寄ったものを中心に、たくさんの苗木が植えられました。

木の葉を食べるだけでなく、野生では毎日、枝葉を折り取っては簡単な寝床を編んで樹上で眠るチンパンジーたちなので、植えられた木も食べられたり、折られたりします。しかし、そういう行動が引き出されることこそ、動物園でのかれらの暮らしを、より豊かにすることにつながります。折られたら、また植えればいい。そういう催しの繰り返しが、来園者にもチンパンジーや、動物園の営みに対する理解を深めてくれるだろう。チンパンジーと、しあわせをわかちあおう。それが植樹祭の目的です。

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参加者には、感謝状も。

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このようなチンパンジーの群れづくりや、植樹祭をはじめとする環境整備を進めてきた、かみね動物園の飼育の営みに対し、動物園と市民を結ぶことを目指すNPO法人・市民ZOOネットワークは、2012年度のエンリッチメント大賞を授与しました。

エンリッチメント大賞は、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための、動物園の優れた取り組みに与えられる賞です。詳しくは、こちらを御覧ください。

 

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大きなケージの三次元構造を活かして、わたしたちの目にはアクロバティックにも見える運動を見せるシロテテナガザル。立ち並ぶ各種の霊長類たちの展示の一角を占めるかれらは、注意してみれば、尾を持たず、チンパンジー同様、比較的わたしたちに近い類人猿です(※)。かれらのよく響く「歌」は、テリトリーを主張するもので、ペアのオス・メスでは「デュエット」が行なわれます。

※テナガザルはテナガザル科。チンパンジー・ゴリラ・ボノボ、そしてオランウータンはヒト科に分類されています。

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テナガザルと隣接するエリマキキツネザル。かれらや、同じ並びのワオキツネザルは、マダガスカル島のみに生息し、原始的な特徴を多く残しています。突き出た鼻づらも、かれらの臭覚と結びついており、霊長類は、かれらのような臭覚を重んじる生き方から、視覚中心のありようへと進化してきたと捉えることができます。

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この日(2015/3/28)は、実習生が実習活動の「まとめ」的な意味を込めて、キツネザル・ガイドを行ないました。

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少し離れた「チンパンジーの森」からも、高みの見物が出る大盛況。

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丁寧で楽しい手づくり解説は、せっかくなので掲示することにしました。

※写真は、参加者の御了承を得て掲載しています(以下同様)。

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さらに、2011年に新設された、何種類もの霊長類の複合展示施設「サルの楽園」です。

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水に囲まれた「リスザルの島」では、組まれた枝だけでなく、時には綱渡りのような動きも。ボリビアリスザルたちにしてみれば、南アメリカの森の蔓を伝っている感覚なのでしょう。

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昆虫などを食するのを好むかれらは、自前の「採集」を見せてくれることもあります。

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こちらはマンドリル。オスのケンシロウには手渡しで「おやつ」をあげられる時間もあります。「強面」な外見ですが、ひとつひとつ手で受け取ってくれます。

ケンシロウの派手な顔(お尻もカラフルです)は、成熟したオスの証です。4歳で東武動物公園からやってきたケンシロウも、この2/7で9歳を迎え(※)、「男らしい」姿となりました。

※チンパンジーのゴウと同じ誕生日です。

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そして、福岡県の大牟田市動物園から、パートナーとなるメス・リエルを迎えることも出来ました。ふたりについては、「サルの楽園」の掲示も御覧ください。

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楽園の空高く。ジェフロイクモザルは、リスザル同様、南アメリカの森に住み、中でも最も高層部で活動します。自由度の高い肩は「枝渡り」の動きを可能とし、筋肉の発達した尾は「第五の手足」として、あちこちに巻きついて体を支える役割を果たします。

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再び、地には平和を。さきほども御紹介した沢水のプールの恵みに浴しつつ、かみね動物園では二頭のメスのカバが暮らしています。母親のバシャンは、いつしか娘のチャポンに体格を追い越されていますが、国内最高齢(1963年生まれ)の個体として健在です。

 

 

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カバの隣は、クロサイ。かっちりした角のオス・メトロと、細身のすらりとした角のメス・マキ。ふたりの間には5頭の子どもが生まれており、5番目の娘・サニーは、2012/11/14に鹿児島市平川動物公園に旅立ちました。

動物たちそれぞれが、緩やかににぎやかに過ごす、かみね動物園。こうして、日々の積み重ねが明日へとつながっています。

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未来へ。

 

 

日立市かみね動物園

公式サイト

 

園内からのぞめる太平洋のように、豊かないのちに活気づく動物園

〒317-0055 茨城県日立市宮田町5-2-22

電話番号 0294-22-5586

飼育動物 約70種500点

 

開園時間:

3~10月(夏期) 9~17時(入園は16時15分まで)

11~2月(冬期) 9~16時15分(入園は15時30分まで)

休園日:年末年始(12/31~1/1)

  • アクセス

JR日立駅からバスで、約10分。

その他、こちらを御覧ください。

 

 

 

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