※とべ動物園では、餌やり体験・ガイド、動物との記念撮影から紙芝居(!)まで、さまざまな催しが行なわれています。これらについての詳細は、同園サイトのイベント情報をご覧ください。

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さまざまな動物たちの足跡の連係がゲートへと導く、とべ動物園。中でもひときわ大きな足跡に導かれたケージが展示されています。
とべ動物園は、松山市内の城跡に1948年に創設された道後動物園を母体としています。このケージは、1987年、現在の、とべ動物園に移転するに際し、2頭のアジアゾウの引っ越しに使われたものです。

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これが、道後動物園から引っ越してきたオスゾウの太郎です。太郎は2013年に亡くなりましたが、それまでの25年間、担当飼育員の工夫したタイヤで遊んだりしつつ、悠々とした日々を送っていました。

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こちらはアジアゾウ舎の屋内に設けられた、ハナ子の記念展示です。ハナ子は太郎のパートナーでしたが、2006年に亡くなりました。
現在、アジアゾウ舎は空の状態になっていますが、やがては新しい動物を迎えることになるでしょう。このように、去っていった動物たちを偲びつつ、次の夢をかなえるため、前へ進むことが、動物園らしい「いのちのリレー」と言えるでしょう。

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こちらは、1999年に生まれ、当園で人工哺育により育ったメスのホッキョクグマ・ピースです(※)。ぬいぐるみのような赤ん坊時代から、その愛くるしさで人気を集めてきましたが、御覧のようにおとなになった現在も、ホッキョクグマ舎前には、ピース・ファンの姿が数多く見受けられます。ここにも、穏やかに続く、いのちへのまなざしがあるのです。

※ピースの誕生・生い立ちについては、こちらを御覧ください。

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“隔てを忘れて、もっと身近に”。道後動物園から、広い敷地のとべ動物園へ移ることで可能となったひとつが、本格的な「無柵放養」式の展示法です。来園者と動物たちの間にモート(堀)を設けることで柵なし(無柵)の放し飼い(放養)を行ない、より自然な情景で観察できます。たとえ、それがライオンでも。

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さらに、技術の進歩は、頑丈なアクリルガラスによりさらなる「近さ」をもつくり出しました。

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岩山を模した観察舎の二階からは、すぐ足もとにライオンを見ることもできます。

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もうひとつの無柵放養式展示方法。捕食者(ライオン)と被食者(草食動物)の間にモートを挟むことで、両者が共存するアフリカのサバンナの景観を再現しています(パノラマ展示)。

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こちらは、草食動物たちのゾーンからの眺めです。

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大型のウシ科動物・エランドを、我がもの顔で先導する(?)モモイロペリカン。独特の風貌のサバンナの掃除屋・アフリカハゲコウもラインナップに加わっています。

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とべ動物園では、今年(2015年)2/12、8年ぶりにライオンが繁殖しました。生まれたのはオス1・メス2の計3頭。オスの子は、出産直後にうまく母親の腹の下に潜り込めず、人工哺育となりました。詳しい経緯は、こちらを御覧ください。
来園者投票により、オスは柑太郎(かんたろう)、メスは、さくらとリリ花と名づけられました。柑太郎については園内散歩や来園者との記念撮影なども行なわれました(ともに終了しています)。

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こちらは、ヒョウ舎。来園者の頭上にケージが張り出したオーバーハングは、獲物を樹上に引き上げて食べたり、その場でくつろいだりする野生のヒョウの習性を引き出す仕掛けです。

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一見、漆黒のクロヒョウですが、明るい日ざしの中では、ヒョウ柄の存在が見て取れます。

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こちらも美しい斑点模様と、耳の後ろの白い虎耳斑が印象的なサーバルキャット。野生でも、草原や川辺の繁みなどを好んで生息しています。

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かたや、アジアを中心に熱帯から寒帯まで、広く分布するトラ。こちらも無柵放養式の展示方法です。ダイ(手前)とオウガ(奥)は2009年に生まれたオス2頭です。

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屋内展示場。眼前に迫るトラたちからは、独特の体臭までも嗅ぐことができます。ケージにはケージの迫力があるのです。

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アイスブルーの瞳が印象的なホワイトタイガーは、ベンガルトラの白色個体で別種ではありません)。

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こちらは、カナダ南部から中南米に生息するピューマです。「アメリカライオン」とも呼ばれますが、ライオンがヒョウの仲間(ヒョウ属)であるのに対し、ピューマは比較的小型のネコ属です(ネコ属の最大種)。

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そして、南北アメリカ大陸を通じて、最大のネコ科動物であるジャガー。体格の上でもヒョウに勝りますが、模様もちがいます。よく見比べてみてください。ヒョウ(アフリカストリート)とジャガー・ピューマ(アメリカストリート)は、アフリカサバンナを挟んで、両側に位置しています。

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こちらもアメリカストリート。南アメリカ産のアメリカバクです。

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丸太かじりに余念がないオスのムーンはやや小柄。バクたちの日常に変化をつけようと、園内の伐採木などを積極的に利用して「遊具」としています。ムーンは、一度気に入るとずっとその遊具に取り組む傾向があるそうです。

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顔が白く、なにやら迫力があるのは、メスのユメ。気ままで、飼育員が枝葉を与えると、まずはユメが食べ、ムーンはお相伴にあずかるという構図だとか。それでも、ムーンはユメの姿が見えないと落ち着かないそうです。
こんな2頭の間にも子どもが出来て欲しいと担当飼育員は彼らの様子を見ながら、あれこれ研究し、環境改善に努めています。

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バクは、サイやウマと同様に「奇蹄類」と呼ばれ、体の重心が足の中指にかかっています(ウマの蹄は中指1本です)。しかし、原始的な特徴を遺すとされるバクでは、前足は4本指です(重心の位置は変わりません)。サイは前後肢とも3本指なので、見比べてみるとよいでしょう。

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こちらも南アメリカの動物たち。カピバラのワカメ(メス)は、とくしま動物園から来園し、この春に公開を開始したばかりです。

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ヤブイヌは、南アメリカのジャングルで暮らしています。名前の通り、ヤブなどをすりぬけやすく進化した、胴長・短足のユーモラスな体型をしています。

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霊長類の集合展示「モンキータウン」のクロクモザルも、アマゾン川流域の熱帯雨林に住みます。筋肉の発達した尾は、第五の手のように機能し、ものをつかんだり、巻きつけて体を支えたりできます。

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さて、わたしたちにとってはバクと言えば、白黒の色分けの体、アジア産のマレーバクの方が親しみがあると言えるでしょう。

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オスのダン(手前)とメスのロコのペアです。二頭の体調管理のため血中ホルモンの状態などを見極めながら、同居を繰り返しています。これからの季節、飼育員としては、さらに積極的なペアリングを試みたいと願っています。

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マレーバクの展示場近くにあるベンチ。バクはアメリカ産もアジア産も生後数ヶ月は「ウリ坊」です。こんな模様がちょこちょこと走り回る様子を夢見てみましょう。

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オオサイチョウも繁殖の可能性を考えて、ケージの周りへの立ち入りを制限しています(2015/4/14取材)。

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繁殖の際、サイチョウのメスは樹洞に閉じこもり、巣の入口を土や糞で塗り固めて、そのすきまからくちばしでオスの給餌を受け、ヒナを育てます。これからの展開を見守りましょう。

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空を飛ばずとも、ペンギンは鳥です。ウォーターストリートでは、まさに頭上の水中を「飛ぶ」フンボルトペンギンたちの姿を観察できます。

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2015/1/1に孵化し、元旦にちなんで元(ガン)ちゃんと名づけられた人工育雛個体です。ペンギンプールの裏手で、オウサマペンギンのメス・ピーチと暮らしています。ピーチは四国でただ一羽しかいないオウサマペンギンです。

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とべ動物園の鳥類と言えば、2種類のヒクイドリの比較観察も可能です。

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パプアヒクイドリは「ヒトニクダレヒクイドリ」とも呼ばれます。これに対して、単にヒクイドリと呼ばれる種は、別名がオオヒクイドリまたはフタニクダレヒクイドリと言います。どちらがどちらか、もうわかりますね。他のちがいもいろいろ見つけてみましょう。詳しい解説は、こちらから読むことができます。

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鳥の展示が続きますが、こちらは「バードパーク」。水鳥たちの目線に立ったショウウィンドウのほか、鳥たちが気ままに飛んだり歩いたりする中に歩み入ることもできるフライングケージです。

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付属している資料室でクイズに挑戦したり、アマガエルなどの身近な小動物を観察することもできます。

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ふれあい広場などのあるリトルワールドの一角にも、鳥たちの暮らす大きなケージが。保護鳥獣舎です。とべ動物園は愛媛県からの委託で傷ついた野生個体を受け入れ、治療・給餌の後にリリースしています。しかし、怪我の程度が重い場合は、そのまま動物園で暮らす個体もいます。たとえば、治療の過程で翼を切断しなければならなかったウミネコなどです。かれらの姿から、わたしたちが野生動物たちと、思いがけないほど身近に暮らしていることを思い起こしてみてはいかがでしょうか。

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リトルワールド内の「こども動物センター」。

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見るのが楽しい解説や貴重な標本のほか、オオコノハズクなどの若干の生体展示も見られます。

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タヌキの毛皮の手ざわりを実感したりウサギの頭骨や歯の構造を学習できます。

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そんな知識があれば、目の前の動物たちに対するまなざしや想いも、一層深まることでしょう。小さなお子さんたちには、大人がわかりやすく語っていただいたらと思います。

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大人気の人だかり。コツメカワウソは東南アジアを中心に分布する小型種で、家族で群れを構成し、動きも活発なことから、各地の園館で飼育され親しまれています。

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カワウソは、水中生活に適応したイタチ類です。

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このような展示装置で、かれらの水中活動もじっくりと観察することができます。

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とべ動物園とカワウソには、歴史的に大きな関わりがあります。「こども動物センター」にも、大きなカワウソの像が設置されています。とべ動物園の紋章もカワウソです。これらのカワウソ、実はニホンカワウソです。とべ動物園の前身・道後動物園では、1956~1969年の間、6頭のニホンカワウソが飼育されていました。しかし残念ながら、この日本唯一の試みは、この時点で途絶え、その後2012年には、環境省からニホンカワウソの絶滅宣言が出されました。しかし、愛媛県は1964年からニホンカワウソを「豊かな自然の象徴」として県獣に指定しています。現在、とべ動物園で、生きたニホンカワウソと出逢うことはできませんが、コツメカワウソをはじめ、さまざまな動物たちの生き生きとした姿の向こうに、わたしたちがなくしてしまったものや大切にしなければならないものを、さまざまに考えてみることは出来るはずなのです。

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水中派のカワウソに対して、ニッポンアナグマは、地中性を強めたイタチ類です。

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「同じ穴の貉(むじな)」として、アナグマと混同されるタヌキ(イヌ科)ですが、実は穴掘りはさほど得意ではなく、木のぼりもそれほどうまくありません。アナグマやキツネの巣穴を借りることも多いのです。

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ロバやヒトコブラクダは、人が飼い馴らし、生活の中に取り込んできた家畜です。ロバのオス・ショウくん(手前)はメスのコボちゃんが大好きですが、コボちゃんはショウくんを嫌っているとか……ままなりませんね。

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楽しい解説パネルで、ヒトコブラクダ・ブービー(オス)のいろいろな「秘密」を学ぶことができます。

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ブービーのハズバンダリー・トレーニングの様子です。こうして一定の動作と報酬(ちょっとしたおやつなど)を結びつけ、動物と飼育員の間で「約束」を成立させることで、健診・治療・採血などが可能になっていきます。

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ターゲット棒のほか、掌に条件づけることもしています。

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アジアスイギュウの未来(みく)のトレーニングも順調です。体重計に乗ったり採血などもできるようになれば、とのことです。
ラクダやスイギュウは家畜ですが、動物園でのトレーニングは、単に「飼い馴らす」ということではありません。

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動物園は、動物たちをより自然に近い状態で見ていただけるように展示していますが、約束事をつくり、展示動物の心身の健康を守ることで、本来の姿をより生き生きと引き出すこと、それも動物園の使命です。次回は、そんなことを考えながら、とべ動物園のさらなる魅力を探究してみたいと思います。

愛媛県立とべ動物園
大人も子どもも楽しみながら学べる、自然生態を意識した動物園。
公式サイト
〒791-2191 愛媛県伊予郡砥部町上原町240
電話 089-962-6000
飼育動物 約170種823点(平成27年3月31日現在)
開園時間
9時から17時(入園は16時30分まで)
15:30分からは餌を与えるため、ご覧になれない動物がございます。
休園日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開園)
年末年始:12月29日から1月1日
詳しくはこちらをご覧ください。
アクセス
伊予鉄バス・砥部線(千舟町経由・えひめこどもの城行き)
松山市駅(3番のりば)~とべ動物園前
その他、こちらを御覧ください。

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